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ネットで楽しむオーケストラ ―新日本フィルライブ―

モーツァルト       2008年11月27日公開 ヴァイオリン協奏曲第3番ト長調K.216 加藤知子(ヴァイオリン)、クリスティアン・アルミンク指揮 新日本フィルハーモニー交響楽団

楽曲解説

 ヨーロッパ中を演奏旅行で渡り歩いていた少年ヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト。1775年3月(安永4年・作曲家19歳)には故郷ザルツブルクに戻り、その後約2年半をこの街で過ごすことになる。演奏旅行の軌跡については、後世に残された親子で交わされる手紙の数々が伝えてくれており、ヴォルフガング少年がいつどこで何をしたか、かなり詳細にわかっている。ところが、親子が同じザルツブルクにいると、お互いに手紙を書く必要がなくなるために、この時期のモーツァルトが日々何をして暮らしていたのかを知る手がかりは、極端に少なくなってしまう。とはいえ、この年にまとめて作曲された4曲のヴァイオリン協奏曲(第2番〜第5番)が、ザルツブルクに新しく赴任した大司教コロレドの求めに応じて作曲され、モーツァルト自身の独奏によって演奏されたものであることには、ほぼ疑いがない。また、現代オーケストラの団員にとって、このモーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、オーディションの際に必ず演奏しなくてはならない曲ともなっている。

[PickUp! ここが聴きどころ]

 第1楽章冒頭の旋律は、モーツァルトがザルツブルクに戻った翌月、上演にこぎ着けたオペラ「牧人の王」のアリア「静かな空気」から採られている。独奏とオーケストラの対話からなる協奏曲、独唱とオーケストラの対話からなる声楽曲、両者は意外と近い関係にあるのかもしれない。第2楽章では前の楽章で用いられていたオーボエではなく、フルートが用いられ、より華やかな、駆け上がるような美しさが強調される。おそらくモーツァルトの時代は、オーボエ奏者がフルートに持ち替えて演奏したのだろう。珠を転がすかのような第3楽章冒頭の主要主題を聴けば、ヴァイオリンの名手でもあったモーツァルトの演奏ぶりが目に浮かぶよう。

作曲:ヴォルフガンク・アマデウス・モーツァルト(1756−1791)

神に愛された天才、という言葉は、この男にこそふさわしいだろう。幼少の頃から「神童」と呼ばれ、父親とともにヨーロッパ全土を駆け抜けた。このおかげで、その音楽はヨーロッパのみならず、全世界にも受け容れられるほどの普遍性を持つに至る。宮廷への就職活動がことごとく失敗した後、25歳からウィーンに定住し、定職を持たないフリーの音楽家として、ピアノ教師、オペラの作曲と上演など、縦横に活躍する。享年35。

(文=広瀬大介)

収録:2008年9月7日 すみだトリフォニーホール

演奏者プロフィール

  • 加藤知子

    ヴァイオリン:加藤知子

     4歳よりヴァイオリンをはじめ、三瓶詠子、故久保田良作、江藤俊哉の各氏に師事。第47回日本音楽コンクール・ヴァイオリン部門第1位。1980年桐朋学園大学卒業後、タングルウッド音楽祭に参加、メイヤー賞受賞。1981年ジュリアード音楽院に留学。1982年に第7回チャイコフスキー国際コンクール第2位受賞。1983年に帰国。以来国内外でオーケストラとの共演、リサイタル、室内楽などで活躍を続けている。現在、桐朋学園大学で後進の指導にもあたる。DENONレーベルの「バッハ:無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」ほか、録音も多い。

  • クリスティアン・アルミンク

    指揮:クリスティアン・アルミンク

     1971年、ウィーン出身。若い世代の中でもっとも活躍する指揮者の一人。小澤征爾のアシスタントを務めた後、ボストン交響楽団、ウィーン放送交響楽団、ウィーン交響楽団他と客演を重ねている。24歳でチェコのヤナーチェク・フィルハーモニー管弦楽団を指揮、2001/02年シーズンまで首席指揮者を務める。2003年9月、新日本フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任。若手指揮者の異例の抜擢として大きな話題を呼んだ。豊かな音楽性と端正な指揮姿は多くのファンを獲得している。

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