ビジネスのスピードアップ、市場競争のグローバル化、人材の育成・確保の困難さなど、中堅・中小企業を取り巻く経営環境は相変わらず厳しい。これらの課題を乗り越える最大のポイントは、ITの有効活用である。ただし中堅・中小企業は、資金が限られているだけに、投資の優先順位をきちんと見極める必要がある。それでは、他の中堅・中小企業はIT活用にどのような姿勢を持って取り組もうとしているのか、各種調査の数字を見ながら読み解いていきたい。

中堅・中小企業が、大企業と同等にITを活用できる環境が整ってきた。
追い風になっているのは、技術革新の積み重ねである。ハードウエアの機能はどんどん向上し、同じ金額を投資しても10年前とは比べ物にならないほどの高性能な製品を購入できるようになっている。ソフトウエアも進化と低価格化が続いており、高機能なパッケージが導入しやすくなった。しかも、ネットワーク環境はブロードバンドが当然となり、きわめて安価な通信費で、遠隔地の支社・営業所と情報網を構築することができる。こうした機能を組み合わせれば、ひと昔前の大規模システムと同等な機能を、容易に整備することが可能になってきたのである。
こうした環境の変化を反映するかのように、中堅・中小企業の側でも、IT投資を積極的に行う機運が盛り上がっている。
日経パソコンが、2007年9月から10月にかけて、国内の主要企業8238社を対象に行った「企業の情報化実態2007」(2007年12月10日号掲載)によれば、日本企業の投資意欲は上向きだ。2007年度の情報化投資の予算額が、前年と比べて、「10%未満の増加」12.1%と、「10%以上の増加」28.8%を合わせて、全体で40%以上の企業が、増やすと答えている。一方、情報化投資を減らすとした企業は、「10%未満の減少」4.9%、「10%以上の減少」9.8%を合わせて、15%を下回った。この傾向は、中堅・中小企業にも共通している。

しかし中堅・中小企業は、大企業のように潤沢な資金を持っているわけではない。情報化を推進するにも、効率のよい投資を行う必要がある。
「企業の情報化実態2007」の結果を見ると、大企業と中小企業では、優先順位が大きく異なることがわかる(図1)。
従業員数1000人以上の企業では、「セキュリティ対策→ハードウエア→ネットワーク回線設備→ソフトウエア」の順番で投資意欲が強いのに対して、従業員数100人未満の企業は、「ハードウエア→ソフトウエア→セキュリティ対策→ネットワーク回線設備」の順番となっている。企業規模が小さくなるほど、ハードウエアやソフトウエアを充実させたいという意欲が強いのである。
さて、最も投資意欲が強い「ハードウエア」であるが、その内容はおそらく、パソコン、サーバー、プリンターなどであろう。
さらに同調査では、パソコン保有台数に対する評価についても質問しているが、パソコンが「十分行き渡った」企業が68.3%で、「十分ではないがかなり行き渡った」企業27.5%と合わせると、実に95.8%の企業が保有台数に満足感を抱いている。したがって、パソコンについては、新規導入ではなく、リプレースで性能を高めていきたいと考えている企業が多いと判断できる。
一方、サーバーに関するニーズはどうだろうか。ノークリサーチが実施した「2007年中堅・中小企業のサーバー/クライアント管理実態調査報告」では、中堅・中小企業では、サーバー統合への意欲がきわめて高いことが浮き彫りになっている(図2)。
サーバー統合を「すでに実施済み」と、「半年以内に導入する計画」、「具体的ではないが検討/考慮している」を合計すると、60%近い企業が前向きに考えていることがわかる。
さらに、サーバー統合で期待する効果としては、「バージョンアップ、セキュリティパッチ適用などの運用工数軽減」が59.2%と最も多く、「設置スペースの削減」52.8%、「ハードウエアリソースの有効活用」42.5%と続く。逆の見方をすれば、IT化が進むとともにサーバーの台数がどんどん増えていることに危機感を抱いており、「サーバーを集約して管理対象となる台数を減らすことで、管理コストを減らし、投資効果を高めたい」という欲求が高まっているのである。また、「ハードウエアリソースの有効活用」をするには、仮想化が必須であり、先進的な技術を活用していきたいという意欲も高いことがわかる。
ただし、サーバーを統合・集約する場合には、通常のサーバーのハードウエア性能もよりハイスペックなものを選択しなければならない。高速CPU、大容量メモリー、ギガビットイーサネット(1000 BASE-T)対応LANポートなどは必須条件だ。さらに大きな要件は、高い信頼性である。ディスクの信頼性を高めるために、データ領域とOS領域を分けてそれぞれに最適なRAID技術を割り当てたサーバー製品など、信頼性を高めるための配慮がどこまでなされているかをきめ細かくチェックする必要がある。
より有効な情報化投資を目指す中堅・中小企業においては、プリンター、コピー機などの周辺機器も見直すことが大切である。
その際テーマになるのは、カラープリンターとモノクロプリンターのバランスだろう。
提案書や製品・サービスの説明書など、客先・取引先へ提示する文書は、カラーのほうがインパクトが強いことは言うまでもない。納品書や請求書も、色表示をうまく使ったほうが、企業イメージ向上に貢献する。
すでに、モノクロ並みのランニングコストで、フルカラー出力ができるプリンターは市場にも出回っている。また、伝えたいポイントが目立つ「2色印刷」を、きわめて低いランニングコストで実現する機種もある。カラーかモノクロかの二者択一ではなく、ランニングコストの低いカラーや2色出力も選択肢に入れて、柔軟なプリンター配備を行っていきたい。













