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ビジネスモバイル
ビジネスの機動力を高める「ビジネスモバイル」が大きな進化を遂げている。東海道新幹線車内で公衆無線LANサービスが利用できるようになったほか、MVNO(仮想移動体サービス事業者)を活用した法人向けデータ通信サービスも活況を呈している。さらに今年7月からは高速無線通信サービス「モバイルWiMAX」の有料サービスが開始された。進化を続ける「ビジネスモバイル」を使いこなすにはどうすべきなのか。ここでは、そのための最新情報と活用のポイントなどを紹介する。
ビジネスモバイルを進化させるデバイス、通信サービスが拡大
 最近、ビジネスモバイルが改めて脚光を浴びているのは、そのためのデバイスやサービスが充実してきているからだ。「ネットブック」が人気を博しているほか、携帯電話やスマートフォンも高機能化し、多様なアプリケーションを搭載した「ビジネスツール」として利用価値が高まっている。

 モバイル向けのネットワークサービスも様々な選択肢が生まれている。多数の通信事業者から高速なデータ通信カードが提供されているほか、MVNO(仮想移動体サービス事業者)各社の参入で価格競争力のあるサービスの提供が可能になった。また公衆無線LANサービスのアクセスポイントも整備が進み、都市部であれば最寄りの駅やカフェなどで気軽に利用できる。さらに今年の7月からは、高速無線通信サービス「モバイルWiMAX」の有料サービスも登場している。
注目のモバイルWiMAXに期待 既存サービスにも高速化の波
 様々なネットワークサービスの中でも、モバイルWiMAXサービスに対するユーザーの期待は大きい。モバイル通信環境が一気に飛躍する可能性を秘めているからだ。モバイルWiMAXはWiMAX(IEEE 802.16-2004)にモバイル用途の機能を追加したIEEE802.16e方式の通信規格。カバー範囲は半径約1k〜3kmと、室内での利用を想定した従来の公衆無線LANよりはるかに広く、ハンドオーバーで接続基地局を切り替えながら連続通信できる上、時速60kmを超えるような高速移動中でも通信が可能。文字通り、モバイル用途に最適化された機能追加が施されている。

 サービス開始の手続きも簡単だ。多くの事業者がオンラインサインアップに対応しているため、エリア内でモバイルWiMAXに接続し、サービス事業者を選択すれば利用できるようになる。契約のためにわざわざショップに出向く必要がなく「その場で、今すぐ使いたい」というニーズに対応できるのは、モバイルワーカーにとって大きなメリットだ。

 伝送速度も下り最大75Mビット/秒と格段に高速化されているが、これは通信に使う周波数幅(チャネル幅)として最大の20MHzを使った場合の理論値。実際のサービスでは、それより狭いチャネル幅が利用されるケースが多いため、伝送速度はやや絞られるが、それでもサービスの多くが下り40Mビット/秒という従来をはるかに凌ぐ高速通信を実現している。これまではいくつかに分割してやりとりしていた大容量データや、動画の視聴もストレスなく利用できるだろう。

 また電波状況に応じて最適な変調方式を割り当てることができるのも特徴だ。具体的には、電波状況のよい端末には一度に大容量のデータを送れる高速な変調方式を割り当て、電波状況の悪い端末には速度が遅くても確実にデータをやりとりできる変調方式を割り当てるといったことが可能。通信の可用性が高く、実用性重視のサービスといえそうだ。

 料金もADSL並みで使い放題の定額制サービスが主流。多忙なビジネスパーソンにとって“お得感”の高いサービスとなっている。また、これを機に多数のPCメーカーがモバイルWiMAX通信モジュールを内蔵したPCやネットブックの販売に乗り出している。デバイスを含めて、より使いやすいサービスとして普及が期待できそうだ。

 既存サービスの進化も注目に値する。例えば、JR東海は3月14日のダイヤ改正時から、東海道新幹線の東京―新大阪間を走るN700系において、車内の全席からインターネットに接続できる公衆無線LANサービスを開始した。データ通信カードも高速化が進み、下り最大14Mビット/秒のHSDPA(High Speed Downlink Packet Access)、下り最大21Mビット/秒のHSPA+(High Speed Packet Access Plus)方式などADSL並みに高速化された通信サービスが次々登場している。

 一方、利用頻度が低かったり、それほど高速な通信を必要としないのであれば、現在の携帯電話の主流である第3世代携帯電話のデータ通信サービスを利用するのも一つの手だ。通信の実効速度は下り最大でも数Mビット/秒程度だが、専用のUSBデータ通信ケーブルなどでPCと携帯電話を接続すれば利用できる。公衆無線LANのようにアクセスポイントを探す必要がなく、携帯電話が使える場所であればどこでもデータ通信が行えるので、利便性は高い。
モバイルWiMAXのメリット 携帯電話のようにハンドオーバーで接続基地局を切り替えながら通信するので、移動中でも通信が途切れることがない。しかも、時速60kmを超える高速移動中でも通信が可能だ。料金もADSL並みで比較的安価。ビジネスモバイル環境を飛躍させる実用性の高いサービスとなっている。
セキュリティに十分に配慮し用途や使い方に応じて賢い選択を
 ただし、これらのサービスを利用する場合は注意すべき点もある。例えば、公衆無線LANサービスの場合、アクセスポイントのあるエリアに行かなければ利用できない。どこにアクセスポイントがあるかは事前に調べておく必要があるが、事業者の中には携帯電話のGPS機能を利用し現在位置から最寄りのアクセスポイントを検索するサービスを提供しているところもある。こうしたサービスを利用すれば、外出先でも戸惑うことはないだろう。

 また、第3世代携帯電話のデータ通信サービスの料金は従量制課金が中心。使った分だけ課金されるため、頻繁に使わない人には毎月一定の金額がかかる定額制サービスより割安になる場合があるが、大容量のデータを頻繁にやりとりするとパケット代が思わぬ高額になることもあるので、注意が必要だ。

 さらにこれらのサービスを利用する場合、社内のセキュリティポリシーの傘の外に置かれるケースがほとんど。それだけウイルス感染などセキュリティリスクが高まるわけだ。利用者はそのことを十分に理解した上で、Windowsシステムのファイアウォールを有効にしたり、ソフトウエアVPNを導入して通信の秘匿性を高めるなどの対策が必要だろう。また生体認証機能が付与されたデバイスを利用したり、遠隔でのデータ消去機能などを使えば、盗難・紛失時の情報漏えいを防止する上で有効だ。

 このように利用にあたってはいくつか注意しなければならない点もあるが、サービスの選択肢やレベルは格段にあがっている。用途や使い方を考え、最適なデバイスとデータ通信サービスを組み合わせることで、ビジネスモバイル環境は大きく進化する。身近になった“ツール”をいかに使いこなしていくか――。それが、これからのビジネスに差をつける大きなポイントになるだろう。
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