ネット経由で誰でも高等教育を
ビデオやPDFで、世界の大学の講義を受けられる「オンライン・コースウェア(教材)」が増えている。自由な時間に学べる点で、人気を集めつつある。
他校に先駆け、2000年からオンライン教材を公開しているのが、ボストンのマサチューセッツ工科大学(MIT)だ。当初、学内ではさまざまな反発もあったというが、「知識は公共の善に供されるべき」(同大学オープンコースウェアのウェブサイト)として公開を続けている。
現在、9割の教授がオンラインで講義を公開。理系、文系を問わず幅広いコースを揃えており、世界中から聴講者を集めている。
こうした講義は通常、ビデオを使って行われる(図1)。例えば、「コンピューター科学入門」というコースの場合、24回の講義ビデオで構成されている。ビデオを通じて、黒板の前に立つ教授が行う50分ほどの講義を聴講できる。パソコンはもちろん、iPodなどの携帯デバイスにもダウンロード可能。実際の講義で配布された資料もPDFで入手できる。
アップルが無料で配布するコンテンツ管理ソフト「iTunes」を通じて講義コンテンツの充実を図っているのは、スタンフォード大学だ(図2)。同大学は「スタンフォード・トゥ・ゴー(お持ち帰り版スタンフォード)」と銘打って、「iPhoneアプリ開発」から「経済危機」「人体のダイナミックス」「ダライラマ講演」まで、ありとあらゆる授業を公開している。
規模の大きい総合大学だけでなく、専門性の高い大学のオンライン教材も魅力だ。例えば、全米でも有数の医療機関である、ジョンズ・ホプキンズ大学付属病院の健康セミナーでは「高齢性認知症とアルツハイマー」「ガンを防ぐ食生活」などについて、専門医の講義を聴くことができる。
このように、求めれば求めるだけ知識が手に入る時代が来た。これによって大学での教育も、変化を迫られている。学生も、受け身なだけでは、ビデオを観ているのと同じ。積極的に教授や他の学生と議論するなどして、オンライン講義以上の内容を体得しなければもったいないという機運が高まっている。それでこそ、“通う”意味もあるというもの。オンライン講義により、実際に大学に通うことの価値も見直されているようだ。
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