本誌は2009年の4月から5月にかけて、すべての上場企業を含む国内8049社の情報システム担当者を対象に「企業の情報化実態に関する調査」を実施。情報化投資の予定、パソコンや周辺機器の導入実績、セキュリティ対策やBCP策定などの状況についてアンケートを行った。回答を寄せたのは2146社(回収率は26.7%)。そこで明らかになったのは、情報化投資を抑えざるを得ない、企業の厳しい現状だ。
2009年度(2009年4月〜2010年3月)の情報化投資予算が前年度と比べて減少する企業は、全体の49.4%。その半分以上が「20%以上の減少」とするなど、投資を大幅に減らす企業が少なくない。企業規模別に見ると、大企業ほど投資を減らす傾向にある。投資が減少するとした企業の割合は、従業員数が100人未満の企業では40.4%だが、同1000人以上の企業では54.6%に達する(図1)。回答企業のうち、2008年度の売上高が前年度より減少した企業は50.1%。昨年後半からの“世界同時不況”のあおりで業績の悪化した企業を中心に、情報化投資を抑える動きが広がったとみられる。
業界団体の電子情報技術産業協会(JEITA)はこの結果を、「これだけ景気の不透明感が叫ばれている中で、約5割の企業が前年度並み、もしくは前年度以上の投資を検討しているとの結果は心強い」と前向きに分析する。確かに、6月には政府も景気の底打ちを宣言。「2月から3月に比べると、底を打った感はある。今年後半に向けて光が見えてきた」というパソコンメーカーもある。
一方で、「生産ラインが動き始めても、それが金額に変わるまでには時間がかかる。金額に変わらなければ、企業の設備投資は始まらない。IT投資については、まだ下りが続いている」(大塚商会システム部門統括の片倉一幸取締役兼専務執行役員)と、投資の回復には時間を要すとの見方もある。「不況後の自社のイメージが見えないので、投資計画が立てにくい」(ギフト関連商社のシステム担当者)のが本音だろう。
ただ分野別に見ると、セキュリティ対策にかかわる投資は、68.6%の企業が前年度と同程度を維持する。前年度より投資を減らすと答えた企業の割合は、ハードウエア関連で43.8%、ソフトウエア関連でも39.4%に上るが、セキュリティ対策では18.0%にとどまった。内部統制や危機管理にかかわる“必要不可欠な投資”については、優先的にコストを配分する傾向が読み取れる。
リスク対策という意味では、災害時にも事業を継続するための「BCP(事業継続計画)」の策定も求められている。2008年度までに策定済みの企業は28.0%と限られたが、2009年度に策定予定の企業が8.1%、策定の必要を感じている企業が24.7%と、関心の高さがうかがえた。
2009年4月中旬から5月下旬にかけて、すべての上場企業を含む国内8049社の情報システム担当者に調査依頼票を送付、書面およびWeb サイトにて2146社から回答を得た(回収率は26.7%)。株式公開状況は上場企業が611社、店頭公開/その他公開企業が365 社、未上場企業が1147社、無回答が23社。平均売上高は322億9800万円。平均従業員数は1292人。記事中の結果は各質問の有効回答を対象に算出した。本調査は、「電子情報技術産業協会(JEITA)」の協力の下、本誌が日経BPコンサルティングに委託して実施した。
※調査結果における割合は、端数処理の都合上、合計が100%にならない場合がある




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