本間 文=テクニカルライター
Intelの最新CPU、Core i7シリーズはメモリーのオーバークロック動作を容易に設定できる独自の規格「XMP(eXtreme Memory Profile)」に対応している。Core i7向けのXMPは、Core 2シリーズ用のチップセットであるIntel X48などが対応した仕様から進化してバージョン1.2になった。バージョン1.2の変更点と、XMP 1.2対応メモリーモジュールの動作状況を確認した。
1.2での変更点は主に2つ。1つは動作電圧の変更だ。Core i7ではCPU内部にメモリーコントローラーを統合したことにより、あまり高いメモリー電圧に設定するとCPUそのものにダメージを与える可能性がある。そこでXMP 1.2では、メモリーの最大動作電圧を従来の1.8Vから1.65V以下に抑えた。もう1つはCore i7でIntelが採用した信号伝送路である「QPI(QuickPath Interconnect)」への対応だ。XMP 1.1で予約(リザーブ)領域だったSPD(Serial Presence Detect)の210バイトと245バイトの領域にQPIの動作電圧を納められるようにした。
メモリーコントローラーのCPUへの統合で先行するAMDプラットフォームにおいて、メモリーやCPUをオーバークロック動作させる場合には、チップセットとCPUを結ぶHyperTransportの電圧を引き上げて安定動作を図るのが定番の手法となっている。XMP 1.2に対応したメモリーモジュールがQPIの動作電圧情報をSPDに格納したことは、伝送路の電圧を調整した方が良いことを知らない、オーバークロックになじみのないユーザーにとっては、大きな意味があるだろう。
XMP 1.2におけるQPI動作電圧への対応には、メモリーモジュールの大手であるCorsairが関係している。同社は、XMPのベースとなったNVIDIAの独自規格「SLIメモリー(EPP、Enhanced Performance Profile)」規格を立ち上げたメーカーであり、XMP 1.2の策定でもIntelと密接な協議を続けてきたという。Corsairのジョン・ビークリー上級副社長は、XMP 1.2策定の初期段階において、メモリーそのものの設定とは無関係な、QPI電圧の情報を盛り込むことを進言したことを認めている。
マザーボードメーカーのBIOSエンジニアは、「XMP 1.2に正しく対応したメモリーモジュールを使ったシステムでは、Core i7の規定であるDDR3-1066より高い動作周波数に設定した場合、安定動作のためにQPIの動作電圧も変更するようにBIOSを設計して欲しいとIntelから指導を受けている」と説明する。
しかし、現在市場に出回っているXMP 1.2対応モジュールの中には、QPIの動作電圧情報をSPDに格納していない製品も含まれている。GIGABYTE TECHNOLOGYのBIOSエンジニアは「Kingston TechnologyとCorsairのメモリーモジュールの対応は確認した」としていた。そこで今回は、CorsairのXMP対応メモリーモジュールの最上位モデルである「Dominator TR3X6G1866C9DF」で、XMP 1.2の現状とDDR3-1866モジュールの実力を検証した。
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