笠羽 晴夫=アート・メディア評論家、元デジタルアーカイブ推進協議会事務局長
これまで取り上げてきたデジタルアーカイブは、動かないものを対象としていることが多く、当然のことながらその記録もデジタル化も静止画が主体だった。一方、無形文化財が対象となっている例も国立劇場のアーカイブなどいくつかあって、そこでは動画映像が記録される。これに対し、結果としてのフィルムそのものが文化資産というのが「映画」である。
今回はそうした映画の世界のアーカイブそしてデジタルアーカイブを取り上げる。わが国唯一の国立フィルムアーカイブである東京国立近代美術館フィルムセンターを訪ねて、主任研究員のとちぎ あきら、岡田秀則の二氏にお話しをうかがった。
訪問時、東京駅に程近い京橋のフィルムセンター7階展示室では「生誕百年 映画監督 黒澤明」が開催されており、また関連企画として同監督の作品が2階大ホールで連続上映されている最中であった。
生誕百年そして没後五十年という企画は、映画以外の分野でも見かけることが少なくない。生誕から百年は創作者が生きてきた時代であり、また没後から五十年たてば評価も定着することが多く、さらに個人については著作権が切れるタイミングでもある。
それではフィルムセンターの役割から始めよう。