これまで訪ねてきたデジタルアーカイブの対象は有形文化財、つまり静止したものであった。一方、無形文化財は時間の流れの中にあるものであり、その記録と保存については、根本的に異なるところがある。すなわち一期一会であって、その瞬間に消えていくものであり、現在では記録・保存といっても、それは最初から録音、撮影・録画ということなしには考えられない。もっともそういう手段がない時期にも、文字や絵による記録、人から人への伝承で伝えられてきた部分は大きい。
そういう世界のデジタルアーカイブはどうなっているのだろうか。まずは今回、日本の伝統的な無形文化財、それもきわめてレベルの高いものの上演を続けてきた国立劇場のデジタルアーカイブを訪ねてみた。
皇居半蔵門の近く、国立劇場に隣接して、伝統芸能情報館があり、国立劇場と同様に独立行政法人日本芸術文化振興会がこれを運営している。
Webサイトなどを見せていただきながら、調査養成部資料サービス課 桜井弘課長に、ここの「伝統芸能データベース」の中のデジタルアーカイブである「文化デジタルライブラリー」について話をうかがった。