マイクロソフトは2009年11月30日、企業向けのセミナーイベント「SharePoint Conference 2009」の開催に合わせて、2010年前半のリリースを予定している「Office 2010」のプレス向け説明会を実施。19日に一般公開したベータ(開発途上版)をデモンストレーションするとともに、パッケージおよびボリュームライセンスの製品構成を明らかにした。
Office 2010の最大の特徴は、パソコンにインストールして使う「リッチクライアント版」と、ブラウザー上で動く「Webアプリケーション版」(Office Web Apps)、携帯電話(スマートフォン)上で動く「モバイル版」(Office Mobile 2010)の3種類を提供し、いつでもどこでもOfficeを利用できる環境を用意する点だ。またExchange Server 2010やSharePoint 2010といったサーバー製品については、オンプレミス型(自社運用型)とクラウド型(オンラインサービス型)の両方を提供し、企業が必要に応じて選べるようにする。
同社インフォメーションワーカービジネス本部 業務執行役員 本部長の横井伸好氏は、「フロントエンドではパソコン、携帯電話、ブラウザー、バックエンドではオンプレミスとクラウドと、3と2を自由に組み合わせて利用できる。オンプレミスしかソリューションがないベンダーや、クラウドしかソリューションのないベンダーとは一線を画す」と、同社の強みをアピールする。
リッチクライアント版のベータを利用したデモンストレーションでは、「貼り付け」機能がリアルタイムプレビュー(ライブプレビュー)に対応した点を披露。Excel 2010で表をカット・アンド・ペーストする際、「貼り付け」のメニューで貼り付ける形式をポイントするだけで、貼り付けた後の状態がリアルタイムに確認できることが示された。「統計データによると、ユーザー操作の2割以上がカット・アンド・ペーストであり、その直後には『元に戻す』という操作を行う確率が非常に高い。これはつまり、貼り付けた結果が思った通りにいかなかったということ。そこで、お客様が迷わない『貼り付け』という機能を作ろうと考えた」(横井氏)。
このほか、Word 2010を使った共同作業の例として、SharePoint Server上に保存した文書を2人のユーザーが同時に編集するプロセスを紹介。一方のユーザーが文章を編集している間は、段落単位で相手側での編集が制限され、同時編集による矛盾を解消する仕組みになるという。これと同様の共同作業は、個人でも「Windows Live」サービスを通じて実現でき、リッチクライアント版とWebアプリケーション版のいずれでも可能になる。ただし、ExcelとPowerPointの場合は、複数のユーザーが同時に編集すると、それぞれの内容がリアルタイムに上書きされる仕組みとなり、編集内容の排他的な制御は行われないという。
個人向けにはWindows Liveを通じて無償提供されるWebアプリケーション版に関しては、「リッチクライアント版を置き換えるものではなく、それを補完する位置づけなので、すべての機能を搭載するわけではない。機能を出し渋っているのではなく、Webアプリケーション版に適当な機能セットが何かを検討している」(横井氏)と強調。リッチクライアント版、Webアプリケーション版、モバイル版のそれぞれに必要な機能を盛り込む考えを示した。ベータ版の時点では、例えばExcelのWebアプリケーション版ではグラフを新規に作成できないなどの制限があるが、「Webアプリケーション版はまだまだ進歩しきれていない。どの機能が入ってどの機能が入らないかもまだ言えない。すべての機能が入れば良いとも思わないが、ユーザーの要望などを鑑みながら微調整していく」(同氏)とした。
今回の説明会では、現時点で予定されているOffice 2010の製品構成も発表された。これまでと違う点は、ボリュームライセンス版とパッケージ版とで構成が異なること。ボリュームライセンス版では「Professional Plus」と「Standard」の2種類、パッケージ版では「Professional」、「Home & Business」、「Personal」の3種類が提供される。Home & Businessはパッケージ向けの新しい構成で、従来のStandardに情報整理ソフトの「OneNote」を加えたものに相当。Home & Business以上のエディションにはすべてOneNoteが含まれる。
なお、Office 2010では、従来と同じ32bit版に加えて、新たに64bit版も提供される。ただしサーバー製品は64bit版のみとなる。また、各製品の価格およびモバイル版の提供方法については未定としている。
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