AMDは2008年8月12日、グラフィックスチップ「ATI Radeon」シリーズの最上位機種「Radeon HD 4870 X2」と、ミドルクラスの「同4850 X2」を発表した。チップ単体の仕様は、既に出荷されている「Radeon HD 4870」や「同4850」と同等。1枚のボードに2個のRadeon HD 4870、および同4850グラフィックスチップを搭載する。2枚のボードを使って描画性能を高める「CrossFireX」が単体で実現可能だ。日経WinPC編集部では、Radeon HD 4870 X2搭載グラフィックスボードを入手して性能を測定した。
今回、テストに使用したのは、同日にアスクが発表した「SAPPHIRE HD 4870 X2」(Sapphire Technology、実勢価格8万円)だ。本体のサイズは、幅180×奥行き280mm(編集部調べ)と巨大。そのため、搭載できるPCケースは限定されてしまう。Antecのミドルタワーケース「Solo」に搭載しようとしたところ、3.5インチ内部ベイに干渉してしまい、取り付けられなかった。
テスト環境は以下の通り。
【CPU】Core 2 Extreme QX9650(3GHz)
【マザーボード】P5Q Deluxe(Intel P45チップセット、ASUSTeK Computer)、
Striker II Extreme(NVIDIA nForce 790i Ultra SLIチップセット、ASUSTeK Computer)
【メモリー】DDR2-1066 2GB×2、
DDR3-1333 2GB×2(GeForce GTX 280のSLIテスト時)
【HDD】WD Caviar SE16 500GB(Western Digital)、7200.11 640GB(Seagate Technology)
【電源】E-1200EA(1200W、アビー)
【グラフィックスボード】SAPPHIRE HD 4870 X2(Sapphire Technology)、SAPPHIRE HD 4870(Sapphire Technology)、Radeon HD 4870(AMDレファレンスボード)、ENGTX280(ASUSTeK Computer)、GF-GTX280-E1GHW(玄人志向)
【グラフィックスドライバー】AMD:8.501.1-080621A-065814E-ATI、NVIDIA:Force Ware 177.83
「GeForce GTX 280」搭載ボードのSLI動作時は、マザーボードを「Striker II Extreme」、メモリーはDDR3-1333 2GB×2、HDDは「Barracuda 7200.11」に変更している。Radeon HD 4870 X2と同じ環境でのテストではないので注意してほしい。SAPPHIRE HD 4870 X2は常にCrossFireXモードで動作させている。NVIDIAのライバル製品には、同じ価格帯のGeForce GTX 280搭載品を選んだ。
ベンチマークソフトにはFuturemarkの「3DMark06」(1.1.0)と「3DMark Vantage」(1.0.1)を使う。3DMark06は起動状態のままでテストを実行。3DMark Vantageは、標準プリセットから解像度1280×1024ドットを使用する「Performance」、1920×1200ドットを使用する「Extreme」の2つを試した。
3DMark06の結果では、今回テストしたグラフィックスボードの中で最も高いスコアをマークした(グラフ1)。実勢価格8万円のボードを2枚使う、GeForce GTX 280搭載モデルのSLI動作でも歯が立たない。CrossFireX動作のRadeon HD 4870よりも高いスコアだ。
3DMark Vantageでは、GeForce GTX 280搭載品のSLI動作がトップ(グラフ2)。Radeon HD 4870 X2搭載モデル2台分に並ぶ価格(14万円〜)になることを考えれば、当然だろう。
Radeon HD 4870 X2搭載品の結果を見ると、面白い現象が起きている。3DMark Vantageの設定を「Performance」にしたところ、Radeon HD 4870のCrossFireX動作がRadeon HD 4870 X2のスコアをわずかに上回った。ところが、設定をPerformanceより高負荷の「Extreme」にすると、Radeon HD 4870 X2のスコアがCrossFireX動作のスコアより10%近く高い。高負荷時の方が、Radeon HD 4870 X2の実力を発揮できるようだ。
日置電機の「パワーハイテスタ3332」を使い、システム全体の消費電力を調べた(グラフ3)。Radeon HD 4870モデル単体動作時の消費電力は、アイドル時で162.1W、負荷時で249.5Wだ。グラフィックスボードを2枚使うCrossFireX動作時は、さすがに消費電力も高い。アイドル時が242.6W、負荷時は402.8Wにもなる。グラフィックスチップを2個搭載したRadeon HD 4870 X2搭載品はどうかというと、アイドル時の消費電力は176.8W。Radeon HD 4870単体動作時に迫る低さだ。負荷時の消費電力は398.2Wと高いものの、CrossFireX動作時よりは低い。
ベンチマークのスコアと消費電力を考えると、Radeon HD 4870をCrossFireXで使うより、Radeon HD 4870 X2搭載品1枚の方がお得だ。価格もほとんど変わらない。Radeon HD 4870搭載モデル単体の価格が、約3万円半ば〜4万円前半するのに対し、Radeon HD 4870 X2搭載品は8万円前後だからだ。
価格帯でライバルとなるGeForce GTX 280と比べても、ベンチマークの結果が上回るRadeon HD 4870 X2の方をお薦めする。8万円台で買えるグラフィックスボードの中では、トップクラスの性能を誇る1枚だ。
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