AMDは2008年7月1日、デスクトップPC向けクアッドコアCPUの新製品として、Phenom X4 9950 Black Edition、同9350e、同9150eを発表した。
Phenom X4 9950 Black Editionはラインアップ中の最上位モデル。これまで最上位だった9850 Black Editionの動作周波数から100MHz引き上げた2.6GHzで動作する。性能にかかわるそのほかの仕様は9850と同じだ。HyperTransportは4GHz(2GHzのDDR)で、メモリーコントローラーは2GHzで動作する。「Black Edition」の名の通り、通常の製品では固定してある動作周波数の倍率が可変になっており、自己責任ながらオーバークロック動作を簡単に試せる。
9850との大きな違いはTDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)にある。9850の125Wから、9950では140Wに上がった。TDPはあくまでも冷却機構やPCケースを設計するための指標の一種であり、実際の消費電力そのものではないが、TDPが高いCPUは全般的な消費電力も高くなる傾向がある。9950は、設計や製造プロセスが同じ9850よりも消費電力が高めになるとみられる。
Phenom X4 9350eと同9150eは、最近AMDが力を入れている低消費電力版のCPUだ。動作周波数は9350eが2GHz、9150eが1.8GHz。HyperTransportは9350eが3.6GHz(1.8GHz)、9150eが3.2GHz(1.6GHz)になっている。最大の特徴はTDPの低さ。Phenom X4 9750/9550、トリプルコアのPhenom X3 8750/8650/8450がいずれも95Wなのに対し、9350e/9150eは65Wになっている。PhenomベースのPCのシステム全体の消費電力は、同クラスのIntel製CPUを使ったPCよりも高くなりがち。この低消費電力版クアッドコアでどこまで消費電力が下がるかが興味深い。
パーツショップでは、9150eとほぼ同じ仕様のPhenom X4 9100eが販売中だ。AMDは、9100eを大手メーカー向けにのみ出荷するとしていたが、日本市場だけはCPU単体でも発売された。9150eと9100eの違いはステッピング(Stepping)にある。9100eのSteppingがキャッシュ周りに不具合がある「B2」なのに対して、9150eは最近のほかのPhenomと同じく「B3」になっている。キャッシュ周りの不具合は、「クライアントPCとして使う分にはまず問題ない」(日本AMD)ものの、B2 SteppingのPhenomを搭載したPCでは、Windows VistaのService Pack 1を導入すると強制的に不具合解消のプログラムが適用されてしまい、処理性能が低下することがある。
今回は最上位の9950 Black Editionと、低消費電力版の9350eの性能や消費電力を、Phenomの既存モデルやIntel製CPUを交えて測定した。テストに使用したパーツは以下の通りだ。
●CPU
●そのほかのパーツ
AMD製CPUで用意したのは、これまでの最上位であるPhenom X4 9850 Black Editionと、Athlon 64 X2 5000+、Athlon X2 4850e。5000+は9950と同じ2.6GHz動作のデュアルコアCPUとして、4850eは店頭で人気の低消費電力版デュアルコアCPUとして比較対象に加えた。Intel製CPUは、クアッドコアCPUで価格面でライバルとなるCore 2 Quad Q6600とQ9300でテストした。
Phenom X4 9950 Black Editionの実勢価格は3万円前後。ちょうどCore 2 Quad Q9300と同じ価格帯だ。9350eは2万円台前半でCore 2 Quad Q6600とぶつかる。9150eは2万円強だ。ただ、Intelは第3四半期(7〜9月)の早い時期にラインアップの切り替えを予定している。Q6600は値下げ、Q9300は動作周波数を2.66GHzに上げたQ9400(2次キャッシュは現行のQ9450から半減して3MBになる)に置き換わるため、価格性能比が一段と高まる。
マザーボードは、AMD製CPUの性能評価用にAMD 790FXを搭載した高級モデル「M3A32-MVP Deluxe/WiFi-AP」(ASUSTeK Computer)を用意した。Phenom X4 9950や9850はTDPが高いため、AMD 780Gを搭載した安価なマザーボードでは使えないことがある。M3A32-MVP Deluxe/WiFi-APは、9950の正式発表前から対応BIOSを公開しており、今回のテストでは問題なく動作した。
消費電力の測定には、J&W TechnologyのJW-RS780UVD-AM2+を使った。AMD 780Gを搭載したマザーボードで、内蔵グラフィックスだけで運用すれば、システム全体の消費電力を抑えられる。Phenom X4 9350eとの組み合わせでどこまで消費電力が下がるかが注目だ。
Intel製CPUは、GIGABYTE TECHNOLOGYの「GA-G33M-DS2R」と組み合わせた。性能重視ならIntel P45などの選択肢もあるのだが、グラフィックスボードを使わないときの消費電力も測定したかったため、Intel G33を搭載するこのマザーボードを選んだ。グラフィックスボードは、消費電力の低さから「Radeon HD 3450」搭載ボードを選択した。
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