2008年6月4日
西村 岳史=日経WinPC
2008年6月4日、Intelが低価格PCや携帯情報端末向けに新たに開発した「Atom」を搭載したマザーボードが出回り始めた。日経WinPC編集部はIntel製Mini-ITXマザーボード「D945GCLF」を入手、Atomプラットフォームの性能や消費電力を測定した。
Atomの特徴は、64ビット対応や拡張命令など既存のパソコン向けCPUとほぼ同じ機能、命令セットを備えながら、同社のノートPC向けCPUよりもさらに低い電力で動作する点。従来のCPUの設計を流用せず、全く新しいマイクロアーキテクチャー(CPU内部の命令の流れ)を採用することで実現した。ただAtomのマイクロアーキテクチャーは、消費電力やダイ(半導体本体)サイズに直結するトランジスター数を減らすために、割り切った構成になっており、同じ動作周波数のCore 2シリーズなどと比べて処理性能が低いと予想されていた。
Atomにはいくつかバリエーションがあるが、今回入手したマザーボードが実装しているのはFSB533MHz、1.6GHzで動作するAtom 230だ。1次キャッシュは命令用が32KB、データ用が24KB。2次キャッシュは512KB。拡張命令としてSSSE3をサポートする(Intelが提供するデータシートではSSE3までの対応となっているが、同社に確認したところ、SSSE3にも対応するとのことだった)。Pentium 4も搭載していた「Hyper-Threading」を実装しており、2スレッドの同時実行が可能。シングルコアだが、ソフトウエアからは2個のコアがあるように見える。
TDP(熱設計電力、実使用上の最大消費電力)は4W。デスクトップPC向けのCore 2 Duoが65W、ノートPC向けのCore 2が通常版で35Wなのに比べて格段に低い。ただし、230は負荷に応じて電圧と動作周波数を切り替える「拡張版SpeedStep」は搭載していない。ノートPC向けのAtom N270は、省電力機能を実装しており、同じ1.6GHz動作でTDPは2.5W。Intelが「MID(Mobile Internet Device)」と呼ぶ携帯情報端末向けのAtom Z500シリーズは0.6〜2.4Wとなっている。
テストに使用したマザーボードとそれぞれが実装しているCPUは以下の通りだ。比較のため、Intelが組み込み向けに出荷しているCeleron 220(1.2GHz)と、VIAのC7-D(1.5GHz)を搭載したマザーボード、さらにIntelの低価格機向けデュアルコアCPUの最新モデルであるCore 2 Duo E7200(2.53GHz)でもテストを実施した。
Celeron 220は1.2GHzで動作するシングルコアCPU。1次キャッシュは命令、データ共に32KB。2次キャッシュは512KB。FSB533MHz。「Conroe-L」の開発コード名で呼ばれていたCPUコアで、65nmプロセスのCore 2シリーズと内部の設計は同じ。キャッシュとコアを削減し、動作周波数を低くすることで消費電力を抑えたバージョンだ。TDPは19W。
MM3500が搭載するC7-Dは、FSB400MHz、1.5GHzで動作する。1次キャッシュはデータ、命令共に64KB、2次キャッシュは128KBだ。C7シリーズは安価なPCや組み込み用途で使われているシングルコアCPUで、消費電力の低さを売りにしている。VIAはC7の後継として「Nano」をアナウンスしている。
CPUとマザーボード以外の機材は以下で統一した。メモリーにDDR2-800チップのモジュールを使用したが、Celeron 220やAtom 230のプラットフォームではDDR2-533として動作していた。これはテストに使用したモジュールのSPDにDDR2-667の設定がなかったためとみられる。いずれのマザーボードも仕様としてはDDR2-667をサポートしている。
今回のテストでは、消費電力を抑えた中でどれだけの性能を示すかを調べる。グラフィックスは外付けボードではなく、チップセット内蔵の機能を使っている。
今回は速報版ということで、主要なベンチマークテストの結果とシステム全体の消費電力の測定結果のみをグラフで掲載する。C7-Dのプラットフォームでは、何度かテストしたものの、メモリー性能が著しく低くなってしまった。ただ、メモリー性能とあまり関係しないCPUテストの結果から判断するに、Atom 230やCeleron 220に比べてC7の性能は非常に低いといえる。
Atom 230は、動作周波数の高さや疑似デュアルコアという優位点がありながらも、Celeron 220には性能面で及ばないという印象だ。一方、消費電力は確かに低い。アイドル時こそ2W程度の差だが、負荷時は8W強に差が開く。30〜40W前後のシステムでこの差は大きい。230は負荷時とアイドル時で差がほとんどないことから、SpeedStepが実装されていれば、よりアイドル時の消費電力が下がるとみられる。
試しにAtom 230のプラットフォームで、HDDを3.5インチからG.Skill Internationalの64GB SSD(Solid State Drive、読み出し100MB/秒、書き込み80MB/秒、実勢価格は14万円台半ば)に交換、さらに電源ユニットも80WのACアダプターに換えたところ、アイドル時24.5W、負荷時25.9Wまでシステム消費電力を下げられた。
関連情報
【詳細版】Atom 230とCeleron、Core 2、Athlon X2を比較
| ■変更履歴 記事公開当初、「Atom 230」を「Atom N230」として掲載しておりました。お詫びして訂正します。本文とグラフは修正済みです。 [2008/6/5 17:10] |
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