中野 淳=日経パソコン
東日本大震災の被災地では、ITがさまざまな形で重要な役割を果たしている。地震発生直後から現地に入り、被災地の情報支援を続けているのが、独立行政法人の防災科学技術研究所だ。同研究所は、災害に強い社会を実現するための基礎研究や技術開発を行っている。今回の震災では、これまでの研究の成果を生かしつつ、民間と協力しながら機動的な取り組みを展開中だ。
この活動をけん引する、社会防災システム研究領域の長坂俊成プロジェクトディレクターに、支援の成果や明らかになった課題について聞いた。
大きく3つあります。震災直後は、ボランティアセンターの支援が中心でした。復旧期に入ると、罹災証明の発行やがれき撤去の管理といった行政の応急復旧業務の支援を始めました。そしてもう一つ、被災地を丸ごと映像や画像でアーカイブする取り組みも進めています。
我々はもともと、研究の一環として「eコミュニティ・プラットフォーム」という情報基盤を開発してきました。地域コミュニティサイトを構築したり、複数の地図情報を重ねて利用したり、といった機能を持ちます。今回の震災後は、これらを利用しながら被災地の情報支援に取り組んでいます。関連情報は、「ALL311」(http://all311.ecom-plat.jp/)というWebサイトで発信しています。
取り組みは、官民共同で実施しています。災害時の復旧支援では、二次被害を防ぐためにも機動性が重要です。制度が作られて予算が付くのを待つのではなく、民間と協力して機動的に動いています。
復旧を支援する側への情報提供です。まず震災直後は、被災地からは情報が全く出てこないため、行政もボランティアもどこにどんな支援のニーズがあるか分かりません。被災地を外から俯瞰(ふかん)して被災状況を推定し、手掛かりとなる情報を提供することが求められます。
我々はさまざまな機関に情報提供を依頼し、それらを標準的なインタフェースを使って組み合わせました(右上図)。これによって、どこに避難者がいそうか、どの道を通れば支援に行けるかといったことを類推できるようになりました。
時間がたつと、被災地の中からの情報発信を支援する仕組みが求められます。民間企業に呼びかけて、中古100台と新品200台、計300台のパソコンの提供を受けました。NTTドコモからは通信カードを3カ月間無償で貸してもらいました。プリンタードライバーなど必要な環境も整えてボランティアセンターに設置し、情報発信できる環境を構築しました。
同時に、情報リテラシーがあるボランティアを全国から募集しました。その人たちに現地に入ってもらい、彼らがシステムを運用できるようにしたのです。これによって、どんな支援が必要なのか、現地から発信できるようになりました。5月末までで、延べ約1100人の情報ボランティアに活動してもらいました。
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