2008年10月10日
聞き手・仙田 明広=日経パソコン
最近、プロジェクターの進化が著しい。輝度や解像度の向上が進む一方で、手のひらに乗るような小型サイズの製品が登場するなど、さまざまな用途に対応できる幅広いタイプの製品が続々と登場している。市場も堅調で、年率10〜15%程度の成長を維持している。
プロジェクターの投射方式では、DLP方式と液晶方式が主流。DLP方式とは、CMOSの半導体に独立して動く微細な鏡を48万〜200万個敷き詰め、それに光をあてて鏡に反射した光を投影するもの。米テキサス・インスツルメンツが開発、部材を供給している。
今回、テキサス・インスツルメンツのDLP事業部でフロントプロジェクションビジネスを担当するバイスプレジデントのラース・ヨダー氏に、プロジェクター市場の動向と今後の展開について聞いた。
以前は25%以上の伸び率だったが、ここ数年の伸びは10〜15%程度と落ち着いてきている。その中で、DLP方式のプロジェクターは50%近いシェアを確保している。今後は、新しいマーケットにもしっかりと対応していく。
まず、既存のプロジェクター市場では、色の再現性を高めるとともに、DLPとLEDの組み合わせた製品などで、より多くのユーザーに応えることができている。2008年の第2四半期には我々が「BrilliantColor」と呼んでいるテクノロジーを搭載した製品が80%にも達した。
さらに、焦点距離も短くなっている。焦点距離が短いほど、スクリーンの近くに置いても大きく映し出すことができるので、ホームシアターなどでは重要な要素となる。
2つの大きな市場があると思う。一つは装置の小型化だ。2008年の2月に「DLP Pico」と呼ぶチップセットの発表を行った。これを使うことで、プロジェクターを手のひらに乗るほど超小型化できる。これだけ小さいと、携帯電話やパソコンなどに組み込むことが可能だ。これで新しい市場を開拓できると考えている。
単体のPicoプロジェクターでは、重さは120g程度を想定している。明るさはまだ20ルーメン程度だが、使うアプリケーションによっては十分だし、ファンも内蔵する必要がないので静かだ。明るさも将来的には500ルーメン程度まで向上できるだろう。
こうした超小型のプロジェクター市場は、2009年の早い時期に立ち上がると予想している。携帯電話やパソコンにも搭載されれば、現在の600万ユニットという規模から、数千万ユニットにまで市場を拡大していくことができるだろう。
もう一つは、3Dに対応したプロジェクターだ。我々は世界で初めての3Dフロントプロジェクターを開発した。1400×1050ドットの高解像度を実現している。3Dを実現するのは、1つのDLPだけで可能だ。DLPは高速に動かすことができ、左と右の映像を1000回/秒で切り替えて表示することで、立体画像を作り出して表示できる。これは自然科学などの分野で実用化できるし、ゲーム分野などでも応用できる。
LEDを使うことで、色の再現範囲を従来の製品よりも20%以上広げることができる。製品によってはコントラスト比を50万:1という今までに見られなかったほどの性能を達成した。また信頼性も高く、長寿命を実現できる。PicoプロジェクターもLEDを採用している。今後、普及価格帯の機種に搭載されていけば、主流になる可能性は高いだろう。
| ■変更履歴 記事中に「テキサス・インスツルメンツでDLP事業を担当する」とありましたが、「テキサス・インスツルメンツのDLP事業部でフロントプロジェクションビジネスを担当する」の誤りでした。本文は訂正済みです。 [2008/10/10 15:10] |
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