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2012年1月31日 page:1/2次へ

GPS利用とプライバシーのきわどい境目

瀧口 範子=ジャーナリスト

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(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 ここ最近、GPS(Global Positioning System、測位用の人工衛星から発信される電波を受信して現在地の位置を測定するシステム)の話題が多くなった。

 その理由のひとつは先週、警察がある怪しい人物をGPSで追跡し続けたことは違法だと、連邦最高裁判所が判断を下したことだ。この怪しい人物は、ワシントンでナイトクラブを経営する男性で、コカインの商売をしているのではないかと警察が目を付けていた。警察は、行動を監視するために、本人に分からないよう、車にGPS装置を付け、その動きを1カ月にわたって追った。そしてその結果、コカインを売っていることを証明する確かな証拠が数々集まり、その経営者は終身刑に処されようとしていたのである。

 ところが、GPS装置による追跡はプライバシー侵害になると、被告の弁護士が上告し、結局最高裁判所の今回の判決につながった。長期にわたるGPS追跡は行き過ぎた捜査にあたり、プライバシー権利が侵害されたと判断できるというのだ。

 これは、GPSと捜査、プライバシー侵害について初めて下された判決らしい。それでも、その解釈をめぐっていろいろな疑問や意見が出ている。例えば、1カ月ではなく、もっと短期間だったらどうなのかとか、物理的な追跡や監視カメラによるモニタリングはよくても、GPSの装着が違法となる境はどこにあるのかとか。何でも、犯罪であれ、テロであれ、怪しい人物をGPSで追跡するのは、今ではかなり常套的に使われている方法らしく、これが違法となると捜査側はかなりの足かせをはめられることになるという。

 しかし、もっとややこしいケースがいくらでもあるらしい。それは、警察などがかかわらない、ごく普通の人々の間でGPS 追跡をするケースが多くなっていることだ。

 例えば浮気を疑った夫(や妻)が、相手の車やかばんにGPS装置を忍び込ませ、その行動をつぶさに追っているといったケース。あるいは、企業が社員にGPSを取り付けて、その行動を監視しているようなケース。子どもの車にGPSを隠し、取り立ての免許でスピード違反をしていないか、怪しい場所に行っていないかなどを確認しようとするケース。

 こうしたことを耳にすると、GPSのおかげでごく普通の人々が、私立探偵ならまだしも、すっかり秘密警察になってしまったかのような気がする。あー、気味が悪い。


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