前回取り上げた警察庁の「自転車は車道走行という原則の徹底」という通達は、さまざまな波紋を広げている。
ネットの反応を見ていると否定的な意見が目立つ。「自転車で車道に出るのは死ぬようなもの」「命には代えられないから自分は警察が何を言おうが歩道を走る」「そもそも道路が自転車のためには整備されていないのに、車道を走れと言う方が無理」などなど。
警察は1970年ごろから「自転車は歩道を走れ」という指導を始め、1978年には例外規定として自転車の歩道走行が道路交通法に入った。以来33年、自転車は歩道を走るものという認識はかなり強く私たちの意識に染み付いてしまっている。
しかし、前回書いたとおり、無原則な自転車の歩道走行が事実上の標準となってしまっている国は日本だけである。自動車のドライバーは「自転車が車道に出てくると危なくてしょうがない」と言うし、歩行者は「歩道を飛ばす自転車は怖い」という。すべての人の意見を容れていくと、路上の自転車の居場所はなくなってしまう。弱者優先、弱者保護という交通ルールの原則に従えば、自転車は車道を走り、自動車は自転車を優先するというのが筋であり、秩序ある交通を維持するための唯一の方法なのだ。
とはいえ、30年を超える歩道走行の実績は、すぐに方針転換するにはあまりに長すぎた。私たちの意識も、道路の構造も、さらには自転車の設計すらも歩道走行に適応してしまっている。そう、ママチャリという車種は歩道走行に最適な自転車として生まれた、日本特有の車種なのだ。
だから今回の警察庁の通達は、「すぐにこうしろ」という形ではあるものの、実質的には「警察庁はこの方向を目指す」という宣言として受け取るべきだろう。
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