国内ではアマゾンでさえも日本国内にデータセンターを持っており、そのことをアピールしています。これはなぜかというと「海外のクラウドではサーバーが現地の法律で差し押さえなどにあった場合にどうしようもない」という考え方と、そもそも「重要な情報を海外に置くなんてもってのほか」という感覚的な考え方が日本ではとても強いからです。
確かに、個人情報などを取り扱う仮想サーバーを想定した場合に「国内にあること」が外せない条件の一つとする国内企業が多いのが実情でしょう。しかし、そういうニーズから、国産のクラウド事業者は、高い人件費と用地確保のコスト、震災などの各種の災害への対応、データセンターの所在地の公開の要求、顧客は日本企業がメインという海外勢よりも不利な状況の中で事業を展開することになります。恐らく体力のない事業者は力尽きていくでしょうし、サービスレベルにも違いが出てくるでしょう。私は、身を持ってそれを体感しています。
私がいくつか借りている仮想サーバーの1つに、上場している大手通信事業者のものがあります。物理的にホットスタンバイの冗長構成が採られており、通信回線も2重化されています。
こういった構成の場合、当然、「止まる」ということはよほどのことがない限りないはずなわけですが、最近、障害が続いています。多いときには毎週のように数時間停止するのです。SLA(service level agreement)があるとはいえ、しょせんは利用料金が若干返還されるだけのことで、それよりもちゃんと動作し続けて欲しいのです。
先週、「お客様の仮想コンピューターのデータが破損している可能性がありますので、今晩再起動いたします」というメールが来ました。まったく落ちない要塞のようなサービスは期待していませんが、普通のパソコン以下の可用性ではクラウドサービスを利用する意味がありません。しかも、そういったときのいわば緊急対応の問い合わせは「平日昼間メールのみで3日以内を目安に返事をします」なのです。
海外では貨物用コンテナにサーバーを置くなどの新しいデータセンターが主流になりつつある今、場所を国内に限定するような要求は時代遅れといえるでしょう。すぐに仮想サーバーのイメージデータを他のデータセンターの仮想サーバーに移行して運用し続けるような構成の方が、むしろ事業継続性の面からはいいことなのです。
そうした面からもクラウドを選択してみてはいかがでしょうか。
【三輪信雄(みわのぶお)】
1995年より日本の情報セキュリティビジネスの先駆けとして事業を開始し、以降情報セキュリティ業界をリードしてきた。上場企業経営者やITセキュリティだけでなく物理セキュリティについても知見があり、技術者から経営者目線まで広い視野を持つ。
政府系委員も数多くこなし、各種表彰、著書・講演も多数。2009年から総務省CIO補佐官を務める。
S&Jコンサルティング株式会社 代表取締役
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