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2010年9月13日

企業経営を変えるUstreamの可能性

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出典:日経パソコン 2010年8月9日号(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 誰もが無料でインターネット生放送を楽しめるサービスが急速に広がっている。その代表格は「Ustream(ユーストリーム)」だろう。先日、東京商工会議所のUstream活用セミナーで講師を務めたが、当初は定員100名の予定だったのに350名もの申し込みをいただいた。これは、カンの良い経営者やメディア関係者が“Ustreamの可能性”を直感しているからにほかならない。そこで、動画配信サービス「YouTube」との違いも踏まえ、企業経営にどう生かせるのか考えてみよう。

1.投資額ゼロで生放送設備が完成

 まず衝撃的なのは、Ustreamでは生放送の設備が、ほぼ手持ちの道具で済んでしまうことだ。基本的には、パソコン+インターネット回線+家庭用のビデオカメラだけあればいい。仮にWebカメラを新規購入してもせいぜい数千円の投資で済む。テレビの生放送のために1台数千万円もするようなカメラと巨大アンテナを備えた特殊車両が必要なのとは大違いである。

2.時間制限なしに丸ごと放送

 YouTubeには1作品15分までという制限がある。そのため短い会社案内や商品紹介などを配信するのには向いていたが、セミナーや講演会、コンサートなど長時間の映像配信には不向きだ。

 一方、Ustreamには時間制限が無いので丸ごと放送できる。つまり、いくつも分割したり要約したりする面倒な編集作業も要らないわけだ。

3.フロー×ストックの両方式で配信

 YouTubeは作成済みもしくは録画済みの動画をネットで常時公開するストック型サービスだ。対してUstreamは、一見すると生放送をするだけのフロー型サービスに見える。だが同時に、生放送した番組を録画して永久公開もできるストック型サービスである点が画期的である。番組を通常放送した後でも録画番組を見られるNHKオンデマンドなどにも似ている。

4.視聴者はイベント参加者の数倍

 Ustreamを使えば、中小企業でもローコストで多くの人に商品展示会などのイベントに参加してもらえる。地方の企業が、わざわざ東京に大きな会場を借りずとも、地元の小さな会場で開催できるのだ。たとえ会場に数十人しかいなくとも、ネット経由で数百人が視聴してくれればいい。遠方のお客様や、前後に予定がある人も、ネット経由で参加してくれるのはありがたい。

5.ブログに録画を貼り付け永久公開

 生放送後も、当日予定があった人や、検索などを通じてイベントを知った人が、永久保存の録画を見てくれれば継続的な宣伝媒体となろう。私が日本財団で行った「Twitter活用セミナー」は、Ustreamで生放送された後、今でもブログを通じてレジュメと録画を合わせて視聴できる。そのおかげで Twitterのフォロワーも大いに増えて縁が広がり、Ustream効果を実感している。

6.Twitterで質疑応答や口コミ

 イベント告知の際には、Ustreamで生放送を行うURLと、生放送を見ながらつぶやけるTwitterのハッシュタグを伝えるのが、今後の常識となるだろう。会場にいる人もネットで見ている人も、質問や意見をTwitterで即座につぶやける。それを見ながら講師が即答することもできるのだ。

7.大統領演説やTV通販に学ぶ

 Ustream時代になると、ネットで多くの人に感銘を与えるためのスキルが変わる。これまでのネット社会では、自己表現力のうち文章力や写真撮影力などが重視されてきた。しかしこれからは、中小企業の経営者もカメラ前でのスピーチ力が問われる時代になる。米国のオバマ大統領やジャパネットたかたの高田社長の動画を見て学ぶことも、ICTスキルの一つになる。

                     *        *         *

 ビジネスにおけるインターネット革命の本質は、ある商品に最も思い入れのある供給者が、それを最も求めているお客様と出会い、直接的に熱く語り合えることにある。UstreamとTwitterは、その一つの到達点=新しい時代の始まりといえるだろう。

著者プロフィール

【久米信行(くめのぶゆき)】
1963年 東京下町墨田区生まれ。慶応義塾大学経済学部平野ゼミで「中国経済」専攻。イマジニア(株)でファミコンゲーム「松本亨の株式必勝学」、日興證券(株)でAI資産運用/相続診断システム「ベストプランナー」の開発から飛込み営業、社内外研修講師まで担当。
現在は家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業(株)三代目として第二創業に取り組む。「オーガニックコットン・グリーン電力・手仕事の優しさ」と「Tシャツを自作して発信する喜び」を伝えることがライフワーク。目下の個人的な研究課題は「ICTを使ってどこまで...ヒトは、自在の境地に遊び、縁を楽しめるか!企業は、経営理念を貫き、絆を深められるか!」
【公 職】東京商工会議所墨田支部IT分科会長、明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師、特定非営利活動法人CANPANセンター理事、(株)カレン社外取締役、経営者会報BLOGプロデューサー
【受 賞】1997年日経インターネットアワード、2005年2006年経済産業省IT経営百選
【連 載】日経パソコン「焦点」、日経ITProWatcher「企業経営に生かすブログ道」、日経ベンチャーONLINE「経営者のためのIT道場」、ミック通販支援BLOG「お客様とコミュニケーションする!」、オールアバウト「Tシャツガイド」、経営者会報「社長のためのブログ道」
【著 書】NTT出版「メール道」、「ブログ道
【個 人】Tシャツ道日記ケータイblog縁尋奇妙メール久米曼荼羅縁尋動画スライド


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