「1時間幸せになりたかったら酒を飲みなさい。3日間幸せになりたかったら結婚しなさい。8日間幸せになりたかったら豚を殺して食べなさい。永遠に幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」。これは、中国の古いことわざです。また古代バビロニアのことわざには「神は、つかの間の人生から、釣りに費やした時間を差し引いてはくれない」ともあります。釣りは大昔から、多くの人間を魅了してきたレジャーであったことがよく分かります。
釣りが好きだと言うと「パソコン誌の編集者のくせに、ずいぶんアナログな趣味ですね」と言われることがあります。しかしこの世界も、ITをはじめとする様々なテクノロジーの恩恵を受けて、一昔前とは大きく様変わりしました。かつては職人技で作られていた竿は、「超弾性チタン合金」などの新素材と最先端の加工技術によって高度にハイテク化。魚群探知機(ソナー)は高性能化・小型化し、釣り船への配備はもちろん、ハンディな個人用も普及しています。
インターネットは釣り人たちの釣果を上げることに大きく貢献しています。釣りに行くエリアの詳細な天気、風・波の変化、潮の干満の予報を事前にチェックし、それらの情報から船での座席位置やその日の釣り方など、最適と思われるものを割り出すことも可能です。そして各船宿が、毎日更新するブログの釣果データも大いに役立ちます。「今、どの海域で何の魚が釣れているのか」「どの船長が魚の群れを探し当てる腕があるのか」などが、リアルタイムでチェックできるからです。
釣り人たちは、このように徹底的に情報収集して、戦略を立て、船上ではふだんとは人が変わったかのような粘り強さを見せます。「釣りをしている夫の姿を見たことのない女房は、自分がどれほど辛抱強い男と結婚したか気がつかない」とは米国の作家、エドガー・ワトソン・ハウの言葉です。しかしここまで徹底しても、釣れないときは釣れません。これが自然の不思議さであり、釣りの奥深さでもあります。
そんな日でも、釣り人はあまり落ち込みません。「最良の仕事の日よりも、最悪の釣りの日の方が、まだマシである」とはニュージーランドのことわざ。たとえ釣果が上がらなくても、とりあえず釣り糸をたれただけでうれしいのです。でもこんな姿、釣りに興味がない人にはどう映っているのでしょうか。「釣り竿は、一方に釣り針を、もう一方の端に馬鹿者をつけた棒である」とは、英国の大文学者、サミュエル・ジョンソンの言葉です。
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