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2009年3月9日 page:1/3次へ

1978年の道交法改正がもたらした、自転車と歩行者の危険な混同

松浦 晋也=ノンフィクション・ライター

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(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 前回の「格安自転車を使うことで失われる3つの感覚」は、さまざまな方面から多くの反響をいただいた。どうもありがとうございます。

 もう少し自転車の話を続けることにする。前回書いた通り、格安自転車にはさまざまな問題点が存在する。しかし、現実として格安自転車は大量に販売され、多数の人が購入し、利用している。

 なぜ、問題点の多い格安自転車が、売れているのか。もちろん基本的には「安いほどいい」という消費者の一般的な志向があるわけだが、それだけではない。「安くて十分」と考えるに足る環境が存在するためだ。つまり、日本には、格安自転車でもボロが出にくい使用環境が存在するのである。

 それは、「普通自転車の歩道走行が、法律で認められている」ということだ。

 多分、かなり多くの人が、ここでキョトンとしてしまうのではないだろうか。「自転車が歩道を走れるって、それは当たり前でしょ」と。それどころか「そもそも歩道じゃなくっちゃ、危なくて自転車では走れない」と思う方もおられるはずである。

 だが、よく考えてみてもらいたい。交通安全の根本原則は弱者の保護と優先だ。公道において一番の弱者は歩行者である。歩行者の保護は何にもまして優先しなくてはならない。そして、歩道は歩行者を車両から保護するためのものなのである。

 それなのに、なぜ自転車が歩道を走れるのだろうか。自転車は法律上「歩行者」ではない。「軽車両」という車両だ。
 実態に即して考えても、体重60kgの人が重量20kgのママチャリに乗って時速15kmで走る時のエネルギーは、同じ人が時速4kmで歩いている場合の約19倍にもなる。時速15kmというのは、自転車としてはゆっくりめの速度だ。それでも、運動エネルギーにはこれだけの差がある。たとえ自転車であっても、歩行者にぶつかれば重大な事故になりうるのである。

 そんな危ない自転車が、なぜ歩行者最優先のはずの歩道を走ってもよいことになっているのだろうか。実際、諸外国では、自転車の歩道通行を認めている国は皆無といってよい。一部で、低年齢の子供が乗る自転車の通行を認めている程度だ。

 つまり「自転車が歩道を走れるのは、当たり前」では全然ない。世界の非常識なのだ。そこには歴史的経緯と、日本の道路行政、交通行政の長年にわたる怠慢が存在する。


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