世界最高峰のオーケストラの一つ、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団が、いよいよ来年初頭より定期演奏会をインターネットで配信するという。しかもライブ配信で、映像付きだ。
現在ベルリン・フィルは来日公演で日本を訪れており、11月25日都内でEMIクラシックスにより「サイモン・ラトル&ベルリン・フィル記者会見」が開かれた。首席指揮者兼芸術監督のサイモン・ラトルと、首席フルート奏者エマニュエル・パユ、EMIクラシックスのA&R部門責任者スティーヴン・ジョーンズの各氏が臨席し、彼らの最新録音である「ベルリオーズ/幻想交響曲」や、CDに先駆けてiTunes Storeなどで配信されているブラームスの交響曲第1番(今回の来日公演の演目でもある)について語った後、定期演奏会のライブ配信「デジタル・コンサート・ホール」についてもエマニュエル・パユより紹介された。
「なぜそこでパユ?」と思われるかもしれないが、彼はベルリン・フィルのメディア担当役員も務めているのだとか(そんな役職があったとは)。パユは語る。
「今回のデジタル・コンサート・ホールによって、世界のどこからでもベルリンのフィルハーモニーにアクセスすることができるようになります。自分のチケットをインターネット上に予約するという新しいコンセプトのコンサートであり、非常にエキサイティングな試みと言えます。この企画はEMIのパートナーシップがあって初めて可能になりました。実現までは決して容易ではなく、法律的な問題などもありましたが、私たちは音楽の未来を考えなければならないと思い、取り組んできました。このような配信では、高品質であることが大切です。高音質、高画質なライブ映像をみなさんに楽しんでほしいと思っています」
具体的な料金についてはここでは明示されなかったが(そう、残念ながら無料ではありません)、配布資料によれば3種類の料金体系がある。ライブ中継もアーカイブもすべて無制限にアクセスできる Season subscription、聴きたいライブ・コンサートを選べるConcert ticket、アーカイブからオンデマンドで聴きたいときに2日間いつでも聴けるOn-demand ticketの3種類。先々週にお伝えしたニューヨークのメトロポリタン・オペラでもそうだったが、ここでも定額制と一回券を選べるようになっている。ベルリンでの夜の公演を生中継するとなれば、日本では深夜から早朝の開演ということになる。ワタシたちにとってはOn-demand ticketが有力な選択肢になりそうだ。
映像のクォリティはユーザーの環境によって、3種類から選ばれる。転送速度が3Mbit/s以上あればHDTV並のベストのクォリティ、1.5Mbit/s以上ならDVD並、それ未満でも500kbit/sあれば相応の水準のものを楽しむことができるとされている。
「何月何日の公演が中継されるのか」といった点についてはまだオフィシャルサイトにも情報が掲載されていない(11月26日現在)。サイトでメールアドレスを登録しておくと、後日詳細が決定した際に案内が送られてくることになっている。楽しみにして、続報を待ちたい。
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【飯尾洋一(いいお よういち)】
音楽評論家。1965年金沢市生まれ。著書に「クラシックBOOK この一冊で読んで聴いて10倍楽しめる!」(三笠書房・王様文庫)。名古屋大学理学部物理学科卒業後、音楽之友社にて月刊誌「レコード芸術」「音楽の友」および書籍などの編集に携わる。現在は、クラシック音楽についての執筆などで活躍。1995年よりクラシック音楽ファンのためのWebサイト「CLASSICA」を個人で運営
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