ずばり、採用。この時にその成否は大方きまっているからです。つまり、自主的に動けそうな人、自己学習することができる人を採用すること。あるいは、そのようなポテンシャルをもつ人を採用することです。どちらにもあてはまらない人は、いくら「自由にどうぞ」と言っても、きっとやることが思いつかないからです。
そして、カヤックで自主性を発揮できる可能性があるかどうかを見極めるためには、「どんなものをつくったか?」という質問をするのが一番有力な方法です。つくりたいものがある人であれば、カヤックでは自立して動ける道が開けています。たとえば学生の頃に、授業での課題しか作品がない。こういった人は、やっぱり厳しい。だから採用にこだわり、「つくることへの自主性」を持った人(あるいは、可能性のある人)を採用すること。これが1つ目のポイントです。
とはいいつつも、全員が全員、入社時点でそこまで自主的に動けることはありません。入ってから、「つくることへの自主性」が開化する人もいますから、やはり教育が大事になります。でも社内教育が大事なのは、たぶん、どの会社も一緒ですね。
カヤックが、それほど特別なことをしているわけではありません。ただ、「自主性をもった人間の集まりにしたい」と意識することは重要だと思います。そういう組織にしたいと常々思っていれば、自然とその意志が社内的なルールや文化になって表れ、教育にも反映されていきます。
たとえば、自分の上司や先輩に相談するときも「どうしたらいいですか?」と聞くのではなく「こうしたい、こうしたらいいと思うのですが、どうですか?」としなさい、と指導するとか。「何かを批判するときは代替案を出そう」とか。そのような当たり前のことです。
そして、そういった社内教育を経て、少しずつ仕事で、成功体験を重ね、それによって周囲からも認められ、周囲からだけではなく自分自身を認め、信じられるようになります。そうなると、次に未知なる試練がきたときにも不安におしつぶされることなく挑戦しようという意欲をもって、自主的に動けるようになります。おそらく何の成功体験もない人は、どうしたって自主性はでてきません。そこにいたるまでに2年から3年はやっぱりかかる。そのプロセスを経ないと、いきなり自由にやってください、といっても動けません。よって、2つ目のポイントは、成功体験をさせること。そのための教育をして、ルールをつくることです。
会社の問題を自分の問題と捉えられる人間になってもらうということです。そのための指導を行うことになるので、教育の一貫ではありますが、2つ目のポイントが自主性をもった人間に育てるための仕事における物理的なルールの共有だとしたら、こちらはもっと精神論的なものです。内容としてはこちらも一般的ですが。
愚痴ばっかり言っている人は、結局は自分で何も変えられません。自分で自分のやりたいことを勝ちとるためには、いま目の前で起きている問題を“人ごと”とはしないで、自分の問題として捉えて一生懸命取り組む、その先に自分の自由が待っているという真理。これをしっかりと理解できる人間になるためには、考え方でイケテないところがあれば、お互い指摘しあって、切磋琢磨しなければなりません。切磋琢磨と言うからには、一方的なものではありません。上司が部下に逆に指導されることもあれば、社長だって叱られます。
具体的には社内のイントラネットなどで、そういったエピソードを共有して、お互いの意識を高めていきます。
会社の問題を自分の問題として捉える、これは言いかえれば、経営意識をみんながもつということです。そういう組織づくりにするためには、2つめのポイントとして挙げた物理的なルールの徹底だけではなく、この3つめの、会社の問題を自分の問題として捉えられるようになるための精神論の教育もやはり重要なのです。
とにかく、情報をオープンにします。
上記の1から3を身につけた結果、どんどん自分のやりたいことがでてきて、自主的に動けるようになったときに、各自が間違った選択をしないために、社内の情報は徹底的にオープンな方が望ましいと考えています。
「どのプロジェクトがどのような状況なのか」、「過去に失敗したプロジェクト」、「社内の全会議の議事録」、「新しいルールができたときの経緯」などなど。そういったものをイントラネットで公開し、興味をもって知ろうと思った人には情報が入る状態にしておく。
そして、社内的にも社外的にも「オープンであること」を推奨し、「コミュニケーションをとった人が勝ち」というルールを徹底させます。そのうえで自分の責任で情報の取捨選択をしてもらいます。
最後に、価値観やビジョンといったものを共有しておきます。
自主性をもって、各自が勝手にやるということですから、共通の価値観がないとバラバラになります。共通の価値観がお金だけ。という組織もあるかもしれませんが、カヤックでは、カヤックらしさ、面白法人らしさ、といったことを大切にしています。つまり、もうこのブログでも何度も出ていますが、経営理念をすごく大事にしています。それが何なのかを、フィーリングでもいいから共有しておく。そのために、ぜんいん社長合宿や、社内の各種イベントがあります。そのような行事を通して、カヤックらしいサービスとは何なのかを共有する。これが大事なのです。
以上の5つが、社員一人ひとりが自主性をもった組織にするために僕が気をつけていることで、最終的には、ほんとにみんなが自由に、好きなことを楽しそうにやれるようになれたらいい会社だろうなぁ、と思うのでありました。
(もちろん、これ以外にも、全体を見渡した時のプロジェクトのリソース配分とか、どの職種のひとを増やすかなどといった戦略的な視点を持って、企業が健全に回るように努力した上でというのは前提条件です。)

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