隆二さんが受けた被害は、ワンクリックサギです。不当請求ともいわれ、アクセスしただけで会員に登録されて、業者は入会金や利用料を請求してきます。架空請求との一番のちがいは、架空請求は身におぼえがない請求でしたが、ワンクリックサギはこちらからクリックしてアクセスしていることです。そのために、払わなければならないと思いこませる悪質なサギです。払えばもう請求が来なくなると考えて払ってしまう被害も多くなっています。
メール本文にあるURLにはしかけがあって、URLの最後に意味のわからない文字列が並んでいます。この文字列は一人一人変えてあり、たとえば、Aというメールアドレスに送ったメールには101という文字列をつけておきます。アクセスすると、この文字列が相手に送信されます。すると、101がもどってきたからAのメールアドレスだと特定されて、請求のメールが送信されるというわけです。
なお、携帯電話の番号で送れるショートメールなどでは電話番号が送信されてしまうので、請求は電話で行われます。これはとても怖い思いをすることになるので、着信制限をするなど電話を受けないようにしておきます。
インターネットでは、うっかりボタンをクリックしたり、ちがうボタンをクリックしたりすることがあります。そのミスから消費者を防ぐために「電子消費者契約法」という法律があり、インターネットでの契約について、業者に次のようなことを義務づけています。
(1)「このボタンを押すと購入になります」などと、購入する前に消費者がわかるようにすること。
(2)最終的な申し込み画面で申し込み内容を表示して、そこで訂正やキャンセルができるようにすること。
では、ワンクリックサギではどうでしょうか。メニューや画像をクリックしたとたんに登録されて、(1)の確認画面も(2)の最終確認もされません。したがって、この契約は無効になります。もちろん支払う必要もありません。最近の手口では「利用規約」を設置して、そこに「クリックすると登録され、料金が発生します」などと書かれていることがあります。しかし、電子消費者契約法が優先されますので、利用規約にどう書かれていても関係ありません。
ここまで読んでもらえれば、もうわかりますね。うっかりアクセスして請求されても、完全に無視することです。「IPアドレスからプロバイダーに問い合わせて住所を聞き出す」などとおどされても心配はいりません。プロバイダーはサギの犯人はもちろん、一般の人が問い合わせても、会員の個人情報を教えることはありません。サギの犯人もそれはわかっているのでプロバイダーに問い合わせることもありません。
今、ワンクリックサギの被害が中高生に広がっています。とくにアダルト系の請求はだれにも相談できなくて困っています。子どもが困ったときに相談できる親子関係が一番大切です。日ごろから親子のコミュニケーションを密にできていれば、お子さんから言えなくてもサインをキャッチできると思います。
【野間俊彦(のまとしひこ)】
東京都北区立西ヶ原小学校副校長。1995年からインターネットを始め、それからは勝手に「インターネット伝道師」を名乗る。学校では副校長をやりながら配線工事も担当する。ブログ「のまっちの情報教育通信」
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