今年も暑い夏がやってきた。音楽界ではレギュラーシーズンが終わりを告げ、「夏の音楽祭」の季節がやってくる。ありがたいことに、そのうちのいくつかはインターネットでも公演の模様が中継される。
夏のヨーロッパで開かれる音楽祭でも最大のものといえば、ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールを中心に開かれる「BBCプロムス」だ。7月18日のビエロフラーヴェク指揮BBC交響楽団の演奏会で幕を開け、9月13日のサー・ロジャー・ノリントン指揮BBC交響楽団による「ラスト・ナイト」(これはNHKの中継でもおなじみ)で閉幕するという大規模な音楽祭で、期間中週一日の休みを除いて毎日1、2公演が開かれる。
昨年も紹介したが、今年もBBC radio3がこの音楽祭をインターネットで中継してくれる。公演から一週間はオンデマンドでも配信してくれるので、日本でも時差を気にせずに楽しめるのがありがたい。この原稿を書いている時点ではまだ数公演が始まったところだが、音質面でもまずまずで(といっても64kbpsのビットレートだが)、ヘッドフォンでじっくり聴いても十分楽しめる程度のクォリティはある。
オーケストラ公演だけでも70公演を超えるボリュームがあるので、全体像をご紹介するのは難しいが、どんな出演者が招かれているか、めぼしいところをざっと見てみよう。
まず派手なところで外来オーケストラ勢を挙げてみると、ロリン・マゼール指揮ニューヨーク・フィル、ラトル指揮ベルリン・フィル、ハイティンク指揮シカゴ交響楽団、エッシェンバッハ指揮パリ管弦楽団、ノリントン指揮シュトゥットガルト放送交響楽団、チョン・ミョンフン指揮フランス放送フィルなど。注目の若手指揮者グスタボ・ドゥダメルがエーテボリ交響楽団を率いて登場するのも楽しみ。巨匠バレンボイムは自ら創設したウェスト=イースタン・ディヴァン管弦楽団(イスラエルとパレスチナ他アラブ諸国の若者たちによるオーケストラ)を指揮する。
地元勢ではもちろんBBC交響楽団、BBCフィル、BBCスコティッシュ交響楽団、BBCウェールズ・ナショナル管といったBBC傘下のオーケストラに加えて、ゲルギエフ指揮ロンドン響、ガーディナー指揮イングリッシュ・バロック・ソロイスツらも登場。ともに作曲家として知られるトーマス・アデスとジョージ・ベンジャミンは、それぞれバーミンガム市交響楽団、BBC交響楽団を指揮して自作自演を行なう。ちなみに、BBCプロムスでは新作の初演や、20世紀後半以降の現代音楽なども結構多く、プログラミングはなかなかアグレッシブだ。
古楽系にもお薦めの公演は多い。タリス・スコラーズ、ジョルディ・サヴァール、クリストフ・ルセとタラン・リリク他。セミステージ形式でグラインドボーン・フェスティバルのモンテヴェルディの「ポッペアの戴冠」が上演される。オケはOAEことエイジ・オブ・インライトゥメント管弦楽団。
といったように、毎日毎日、魅力的なコンサートが目白押しで、いくらオンデマンドで聴けるとはいえ、聴きたいものを全部聴こうと思ったら時間がいくらあっても足りない。
このBBCプロムスに加えて、そろそろザルツブルク音楽祭やバイロイト音楽祭もはじまる。到底、聴き切れない。ネットラジオのおかげで、毎年夏は贅沢な悩みを抱えることになってしまった。

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