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2008年7月1日

高橋メソッドとハマコー節に学べ

久米 信行=久米繊維工業社長/T-GALAXY.COM主宰

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出典:日経パソコン 2008年2月11日号(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 今や商談・講演などで、パソコンを使ってのプレゼンは当たり前になりつつある。だからこそ、ただPowerPointを使っただけのありきたりのプレゼンでは相手の印象に残らない。

 そこで、昨今ひそかに注目を浴びているのが、日本Rubyの会の高橋征義氏によって考案された高橋メソッドだ。これは「むやみに大きな字が特徴的なプレゼン手法」で、氏のWebサイトでも概略が公開されている。

 確かに高橋メソッドを試すと聴衆を飽きさせずグイグイ引き込める。しかし、さらにプレゼン効果を上げるには、聴衆の情感に直接訴えかけることが重要だ。そこで注目したいのが、ビートたけしのTVタックルなどでおなじみのハマコーこと政治活動家浜田幸一氏の話術、演説術である。意外にも両者には共通点が多く、併せて使えば効果は絶大だ。

1.文字が大きい = 文が短く直感的

 高橋メソッドのプレゼンでは、真っ白な背景に大きなゴシック体で「必要最小限で最重要」の言葉が目に飛び込んでくる。この点はハマコー氏の演説も同様で、一文が限りなく短くて分かりやすい。だからこそ、誰もが労せずして直感的に理解できるのである。

2.ズバッと単刀直入 = ホンネ勝負

 高橋メソッドでは、背景を説明する冗長な言葉や図表・データに頼らない。いきなり問いかけたり、冒頭から結論を見せることも重要である。ハマコー氏も、討論番組では前置きや説明を省いて、いきなり核心を突くことが多い。しかも視聴者が抱くであろう疑問にホンネで率直に答えるので好印象だ。

3.聴衆の興味 ≠ 己の知識自慢

 短い言葉で伝えるには、聴衆が何を知りたいかをあらかじめ感じ取り理解しておくことが大切である。「知識全部を詳しく伝えたい欲求」を抑えて、聴衆の関心事だけにピンポイントで答える。この点でも、時間が限られたTVコメントや応援演説で、聴衆が興味を抱きそうなことだけをズバッと発言するハマコー氏流に見習う点が多い。

4.パフォーマンス ≠ 文章表現力

 高橋メソッドは大きな文字だけなので、文章表現での差別化は難しい。いわば短歌のようなもの。いかに面白く情感豊かに読み上げるかが勝負だ。時にはボディランゲージも有効だろう。

 そう言えば、一見当たり前の発言も浜田氏が語れば「ハマコー節」に聞こえるのは不思議だ。氏の演説を一番印象づけるのは「土下座」と「母さんの歌」のパフォーマンスなのである。

5.左脳的な理屈 < 右脳的な感情

 すなわち、高橋メソッドもハマコー節も、理屈をこねくり回して左脳に論理的に迫るものではないことが分かる。むしろ視覚を重視しつつ、聴衆の感情を震わせて右脳に働きかけるものなのだ。難しいことを難しく語る人よりも、やさしく面白く教えてくれる人を好きになるのは自明の理だろう。

6.プレゼン技法 < 人柄+好感度

 こう考えると高橋メソッドは、単なる目先の変わったプレゼン技法ではない。その本質は、聴衆が知りたいことだけを、できる限りシンプルに伝える「プレゼンの原点回帰」だ。まさに「中身の勝負」なのである。さらに、サービス精神とユーモア感覚が旺盛で人情味を重んじた「人柄の勝負」でもある。笑ったり泣いたりしながら、気がつけば知りたいことが分かり、聴衆に好感を持たれることこそ目指すべきプレゼンのゴールだ。

7.スライド作り < 舞台稽古

 これまでのプレゼンでは、美しいスライド作りに重きを置きすぎていたのではないか。そして、肝心の本番では、説明過剰のスライドをただ棒読みしていたのではないか。これからは聴衆の気持ちを理解することを第一にして、簡便な資料づくりを目指したい。その分、本番で「いかに聴衆を楽しませるか」を熟慮し修練しておくのである。そして、毎回毎回、一流芸人のように真剣に舞台に登り、心を込めたパフォーマンスを繰り広げて拍手を浴びたい。

*私もプレゼン資料を作ってみました! → http://tinyurl.com/34bqw7

著者プロフィール

【久米信行(くめのぶゆき)】
1963年 東京下町墨田区生まれ。慶応義塾大学経済学部平野ゼミで「中国経済」専攻。イマジニア(株)でファミコンゲーム「松本亨の株式必勝学」、日興證券(株)でAI資産運用/相続診断システム「ベストプランナー」の開発から飛込み営業、社内外研修講師まで担当。
現在は家業の国産Tシャツメーカー久米繊維工業(株)三代目として第二創業に取り組む。「オーガニックコットン・グリーン電力・手仕事の優しさ」と「Tシャツを自作して発信する喜び」を伝えることがライフワーク。目下の個人的な研究課題は「ICTを使ってどこまで...ヒトは、自在の境地に遊び、縁を楽しめるか!企業は、経営理念を貫き、絆を深められるか!」
【公 職】東京商工会議所墨田支部IT分科会長、明治大学商学部「ベンチャービジネス論/起業プランニング論」講師、特定非営利活動法人CANPANセンター理事、(株)カレン社外取締役、経営者会報BLOGプロデューサー
【受 賞】1997年日経インターネットアワード、2005年2006年経済産業省IT経営百選
【連 載】日経パソコン「焦点」、日経ITProWatcher「企業経営に生かすブログ道」、日経ベンチャーONLINE「経営者のためのIT道場」、ミック通販支援BLOG「お客様とコミュニケーションする!」、オールアバウト「Tシャツガイド」、経営者会報「社長のためのブログ道」
【著 書】NTT出版「メール道」、「ブログ道
【個 人】Tシャツ道日記ケータイblog縁尋奇妙メール久米曼荼羅縁尋動画スライド


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