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2007年1月9日

貯金から融資まで。金融業界も大注目のサイバーマネーマーケティング

趙 章恩=ITジャーナリスト

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(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 会員数1900万人、韓国では前例のないネットベンチャー成功神話として日常生活の一部になっているCyworld。日本では苦戦しているようだが、韓国では10〜30代の中でCyworldに加入していない人を見つける方が大変なほど根付いている。このCyworldの中でBGMやアバタ、背景画面などを購入する際に使われるサイバーマネー「ドトリ」(どんぐり)。1個100ウォンで一日平均2億5千万個売れているそうだ。すごすぎる!

利用額に応じて電子マネーを発行するクレジットカードも登場

 CyworldでかっこよくSNSサイトを作るためには最低50〜100個のドトリが必要だ。これぐらい投資しないと、下着のままがらんとした部屋で私を待っているミニミー(アバタ)がかわいそうでたまらなくなってしまうのだ。またドトリはCyworld内のショッピングモールでも使えるし、映画や海外ドラマVOD、電子ブック、オンライン音楽などのデジタルコンテンツ購入にも使える。ドトリを寄付して東南アジアの貧しい国に学校を建てたり、養護施設を援助したりもできる。

 ドトリはB2Bモデルも成功している。特定商品や映画、ドラマなどの宣伝用Cyworldにアクセスしてイルチョン(一寸、親と子の関係、 Cyworldでは友達より濃いネット上で縁組みした仲という意味で使われる)になるとドトリがもらえるイベントがよく開催されている。企業は顧客を集められるので満足、顧客はドトリがもらえるので満足、というわけだ。そのため韓国でサイバーマネーといえばドトリなしでは話にならない。

 リアルの札束にしか興味がないはずの金融業界も、このドトリに目をつけマーケティング競争を始めた。それぞれ銀行とまだあまり縁がない10代を早期に顧客として確保することに加えて、ネットでの口コミ効果を狙っている。

 大手クレジットカード会社であるLGカードと現代カードは「ドトリカード」を発行している。新規に加入するとカード発行記念としてドトリが100 個、毎月20個ずつもらえる。カードの利用額に応じて0.3〜3%のマイレージの代わり、ドトリが貯まる。ドトリは自分のお金で買うのはもったいないけど、あればあるほど嬉しいものなので、20代女性を中心に契約が増えている。

 今まではガソリンスタンド、デパート、大手スーパーなどが主な提携カード発行元だったが、インターネットが生活に溶け込んでいる韓国ではサイバーマネーやポータルサイト、デジタルコンテンツと提携したカードが続々と登場している。カード会社にとっては初めてクレジットカードを申請する20代をターゲットにした新しい収益モデルなわけなので、加入者がそれほど多くなくても損はしない。

外換銀行はドトリの融資も実施

 仁川空港にも入店している外換銀行は2006年10月、金融業界では初めてネットでしか運営されないCyworld支店をオープンし、話題になった。

 Cyworldのサイバーマネーである「ドトリ」を貯金すると訪問者数に応じてドトリで20〜100%の利息が付き、ドトリの融資もしている。融資は抽選で選ばれた40人にドトリ500個を貸出、外換銀行のニュースや広告を自分のSNSサイトに掲載したりコミュニティ活動で返済する方式だ。サイトそのものは身近なドトリを利用して金融商品を分りやすく説明するのが目的だが、予想以上の反響があったため、今後SNSサイトの利用頻度や人気度に応じて利息率が違うドトリ貯金も発売するそう。企業銀行では冬休みの間、500ドル以上両替した顧客を対象に毎日先着30人にドトリ30個をプレゼントしている。

 韓国にはサイバーマネーを商品券や携帯電話料金決済、保険料納付などオフラインで使えるようにしてくれる仲介サイトがある。ドトリやオンラインゲームでのサイバーマネーがいっぱい貯まれば仲介サイトを利用して映画チケット、図書券に交換する人も少なくない。ちょっとしたプレゼントや誕生日プレゼント、お年玉もサイバーマネーで済ませることが多く、筆者も去年に続いて今年もお年玉はドトリやゲームマネーが買える図書券にするつもりだ(韓国のお正月は旧暦)。この頃はネット利用人口の裾が広がっていることから、Eラーニングやドラマ再放送VODのためサイバーマネーを購入する50〜60代も増えている。上司がドトリをチーム員達にプレゼントしたとか、遠くに住む友達にちょっとしたプレゼントがしたくてドトリを買ってあげたという話もよく聞く。

 韓国信用回復委員会が高校生810人を対象に調査した結果、63.7%がサイバーマネーを定期的に購入していると答えた。韓国のサイバーマネー流通額は年間1兆ウォンを遥かに超えるものと推定されている。

 サイバーマネーは単にゲームのため、自分のSNSをかわいくするためのサイバー上の貨幣というより、オフラインからオンラインへ移行している 10〜20代の交友活動にはなくてはならない存在となってきた。サイバーマネーとリアルマネーの区分がなくなる日ももうすぐなのかも知れない。

著者プロフィール

【趙章恩(チョウ・チャンウン)】
ITジャーナリスト。高校卒業まで東京で育ち、韓国ソウルの大学卒業後、ソウル在住。日本経済新聞「ネット時評」、西日本新聞、BCN、夕刊フジなどに連載。著書「韓国インターネットの技を盗め」(アスキー刊)「日本インターネットの収益モデルを脱がせ」(韓国ドナン出版)
「講演などで日韓を行き交う楽しい日々を送ってます。韓国情報通信部と傘下機関・IT企業の対日戦略リサーチ&コンサルティング、日韓IT視察を企画運営するJ&JNETWORKの代表であり、韓国で唯一、日本とのITビジネス交流を図る非営利団体JIBC(Japan Internet Buisiness Community)の会長を務めています。日韓両国で生活した経験を活かし、韓日のIT事情を比較解説する講師として、韓国の色んな情報を分りやすく伝えるジャーナリストとしてもっともっと活躍したいです。
韓国はいつも活気溢れ、競争が激しい社会なので変化も早く、2〜3ヵ月もすると街の表情ががらっと変わってしまいます。こんな話をするとなんだかきつそうな国〜と思われがちですが、世話好きな人が多く、電車やバスでは席を譲り合い、かばんを持ってくれる人も多く、マンションに住みながらもおいしいものが手に入ればおすそ分けするのが当たり前の人情の街です。みなさん、遊びに来てください!」


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