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2006年11月22日

情報教育の国際会議に参加してきました

兼宗 進=一橋大学助教授

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(執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

 前回まで5回に渡り、コンピュータの天才を発掘・育成する試みを続けている東京農工大学の並木先生とNTTの原田さんとの対談をお届けしました。

 すべての人が知識を持つための「底上げ」の教育はとても大切ですが、世界を進歩させるためには、それと並行して普通の人にはできないことを考える「英才」の教育も必要です。英才を発掘して育成するノウハウは完全に確立されているわけではありませんが、「天才を見分けて育成するのは天才が適している」ということは言えそうです。

 その意味で、コンピュータの英才を育成するプロジェクトを続けられている並木先生と、おそらくご自身も天才のひらめきを持つ原田さんとの対談は、実にスリリングなものになりました。このような機会を作ってくれた編集部と、貴重なお時間を提供してくれたお二人に感謝したいと思います。

教育とITの国、フィンランド

 さて、今回は世界の情報教育の一端についてご紹介します。11/7-11 に、リトアニアで「第2回 中等教育における情報教育に関する国際会議(ISSEP)」が開催されました。私も日本を代表して委員を務め、参加してきましたので報告します。

 リトアニアには北欧のヘルシンキを経由して向かいました。ヘルシンキはムーミンの故郷であるフィンランドの首都です。着いた日は最高気温が2度で、東京より15度以上寒かったです。市内は積雪はほとんどないものの、路面は凍っているところが多い状態でした。

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ヘルシンキ駅には除雪車がありました。駅には改札がなく、誰でもホームに入れます

 フィンランドは日本とほぼ同じ大きさの国土を持ちますが、人口は 1/20以下。それでも日本と同レベルのGDPを誇っています。IT産業としては、世界中で3人に1人が使っていると言われる携帯電話のノキアが有名です。教育面では、2003年に行われた経済協力開発機構 (OECD)の学習到達度調査(PISA)でトップクラスを維持しています。

 ヘルシンキ市内は高層ビルがなく、古い建物が残されていて、ゆったりとした景観が広がっていました。ヨーロッパに多い路面電車 (トラム)も残っており、博物館でその歴史を見学できました。

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トラム博物館とめずらしい雪かき付きトラムの展示

 市内にはヘルシンキ大学があり、教室では日本との比較研究のような講義も行われていました。

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ヘルシンキ大学と隣接した大聖堂の内部

リトアニアでの国際会議

 翌日はプロペラ機でリトアニアの首都であるビリニュスに向かいました。リトアニアは1990年に旧ソ連から独立したバルト三国のひとつです。2004年にはEUに加盟し、経済発展を続けています。現在は独自通貨(リタス)を使っていますが、2007年からはユーロに移行する予定です。

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ヘルシンキからビリニュスまで飛んだプロペラ機

 情報教育にも力を入れており、今回の国際会議は国会議事堂の隣にある議員会館で行われました。国を挙げて情報教育を重視していることがわかります。議員会館ということもあり、建物の入口では飛行場のようなX線と金属探知機による手荷物検査が行われていました。

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国会議事堂と今回の国際会議が行われた議員会館

 今回の国際会議(ISSEP)には、世界各国から情報教育を研究している教員と研究者が集まりました。発表者はヨーロッパ各国のほか、米国、ブラジル、ニュージーランド、南アフリカなど34カ国に上ります。アジアからは、香港を含む中国、韓国、スリランカ、そして我々が日本から参加しました。

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全体会議の様子

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各国の教科書が展示されていました。日本からも中学と高校の教科書を送りました

 これは日本から参加したメンバーが主催者であるValentina Dagiene 教授に挨拶をしている写真です。彼女は旧ソ連時代からずっとリトアニアの情報教育に尽力してきた人で、現在も精力的に活動を続けています。これだけの規模の国際会議にこれだけのメンバーが集まったのは、彼女の人徳が大きいのかもしれません。私は昨年秋の国際会議で初めてお会いしたのですが、1年ぶりの再開を喜んでくれました。

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Valentina Dagiene教授

 次回は、国際会議で印象に残った内容を報告したいと思います。

著者プロフィール

【兼宗 進(かねむね すすむ)】
1963年東京生まれ。87年千葉大学工学部電子工学科卒業、89年筑波大学大学院理工学研究科修士課程修了、工学修士。15年間の企業勤務ののち、2004年筑波大学大学院ビジネス科学研究科博士課程修了、博士(システムズ・マネジメント) 。2004年より一橋大学総合情報処理センター助教授。主な研究対象分野はコンピューター教育。自ら教育用プログラミング言語「ドリトル」の開発も手がける。詳しくは兼宗研究室のサイトを参照のこと。


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