パソコンメーカーのサポートは無料で、どんなことでも質問できる。そう漠然と考えているなら、今後その認識を改める必要がありそうだ。NECとNECパーソナルプロダクツは2007年8月30日、個人向けパソコンのサポート体系を改変すると発表した。購入後1年間の電話サポートは従来通りだが、2年目以降は1件2000円の料金が必要となる。NEC以外の製品について問題解決の指示を受ける場合は、別料金のプレミアムサービスを利用する。新サポート体系の運用は2007年11月1日から開始する。手厚いサポートを無料で提供してきたNECの方針転換は、パソコン業界に波紋を投げかけそうだ。
従来、NECは購入時期や回数にかかわらず電話サポートを無料としてきた。このサポート体系を改めた理由は「以前のサポートではカバーできない新しいサービスを提供するため」とPC事業本部の皆川達哉 カスタマーサービス本部長は説明する。同社はサポートの品質向上を社内目標に掲げ、改善を続けた。日経パソコンが実施したサポートに関するユーザーアンケート調査でも、他メーカーを退けて、2006年まで3年連続の1位となった。ところが、これまでのサポートの延長では、ユーザーのさらなる支持を得ることは難しいと皆川氏はいう。
その理由はパソコン利用の多様化にある。例えば、家庭内LANが普及したため、さまざまな周辺機器や家電とネットワーク接続する方法について問い合わせを受けるケースが増えているという。従来のサポートでは、こうした他社製品の使い方まではカバーしきれていなかった。周辺機器のトラブルがあった場合「ドライバーソフトに問題がありそうなので、製造元のWebページで調べてみてください」とアドバイスをする程度だった。
新設した有料の「NEC PCプレミアム 電話による相談サービス」では、ドライバーの入手方法から動作確認方法まで説明する。パソコンの基本的な使い方もアドバイスする。例えば、Webページで検索サイトを利用する方法、メールの送信方法、デジカメの使い方などだ。
要するに、新サポート体系では他社製品の問題解決や一般的なパソコンの使い方までカバーするメニューを用意した。ただ、本来のメーカーサポートの範囲を超える知識やノウハウを提供するからには、受益者がコストを負担してほしいというわけだ。
メーカーサポートの範ちゅうを超える質問は有料というのは当然ともいえる。ただ、メーカーサポートがカバーするべき範囲の認識が、メーカーとユーザーで食い違いがないのかという疑問は残る。例えば、NECの無料電話サポートでは、他社製の付属ソフトが問題と分かった場合には、それ以上は原則としてサポートしない。ある程度は柔軟に対応するとしているが、基本的には、他社のサポート窓口を紹介し、そこに問い合わせるように促す。例えば、WordやExcelの場合であれば、ユーザーはマイクロソフトに問い合わせることになる。
日経パソコンのサポートに関するユーザーアンケート調査によれば「添付品である付属ソフトは当然サポートするべき」という声も多い。こうした考えのユーザーは、なぜこの質問が有料になるのかと疑問に感じることがあるかもしれない。こうしたユーザーの意識を変えて「有料でも他社製品をサポートしてくれるのはありがたい」と、支持につなげることができるかが、今後のNECの課題となるだろう。
数多くの人員を投入し、あらゆるユーザーの要望に応じれば、満足度は上がるのは当然。その一方でサポートのコストは膨れ上がる。NECが購入後2年目以降のユーザーに対して電話相談を有料と設定したのも、コストに対する意識が見え隠れする。
NECに先駆け、サポートの利用に制限を設けたのが富士通。購入から10回までは無料だが、11回目からは1件2000円の料金がかかる。今回のNECのサポート体系の変更により、国内を代表する大手メーカー2社がパソコンのユーザーサポートに一定の利用制限を設けたことになる。今回のNECの取り組みが、ユーザーに受容され、軌道に乗ったとすれば、メーカーがサポートの適用範囲に一定の線引きをする動きが広がっていく可能性もある。
| ●有料メニューを追加したNECの新サポート体系 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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| 従来の無料サポートに加えて、有料の「NEC PC プレミアム 電話による相談サービス」メニューを追加。購入後2年目以降も有料とした。「リモート点検サービス」を除く有料サポートでは、電話の回数ではなく、問題が解決するまでを1件とカウントするインシデント制とする。既存のユーザーに対しては一定の移行期間を設ける。例えば2007年4月〜10月までに購入したユーザーは2008年11月まで無料の「使い方相談」を利用できる |
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