楽天は2006年7月12日、全日本空輸(全日空)と国内旅行サービスを提供する新会社「楽天ANAトラベルオンライン」を共同出資で設立すると発表した。新会社の出資比率は楽天50%、全日空40%、ANAセールス10%で、2006年8月1日設立予定。
楽天ANAトラベルオンラインは2006年10月より、楽天トラベル内で「ANA楽パック」という新しいサービスを始める。ANA楽パックでは、ユーザーの予算や目的、日程に応じて、全日空の航空券と楽天トラベルが契約している宿泊施設やレンタカーを組み合わせた国内のパッケージ旅行を予約、購入することができる。サービス開始当初は航空券と宿泊施設を組み合わせたパッケージの提供になるが、「今後はレンタカーを始め、テーマパークのチケットや野球のチケットなどの旅行商材を仕入れていきたい」(楽天トラベルの山田善久社長)という。
ANA楽パックのようなサービスは「ダイナミックパッケージ」と呼ばれる形態のサービスだ。欧米などでは旅行サイト大手「Expedia.com」や「travelocity」などで一般的に提供されている。一方、国内でダイナミックパッケージを提供している旅行サイトは大手ではまだない。
ダイナミックパッケージではユーザーの好みで宿泊施設、航空会社、レンタカーなどを自由に組み合わせられる。例えば「航空券+宿泊施設」といったような項目から、予算や日程などを選択すると、さまざまな宿泊施設と航空券がセットになったパッケージが複数表示され、好みのパッケージを予約、決済できる。「旅行代理店が用意しているパッケージは選択肢が少ない上、自由度も少ない。その上、パンフレット料金や手数料など旅行代理店の取り分があるので割高になる」(全日空の営業推進本部安達俊彦部長)。ANA楽パックのようなダイナミックパッケージは、自由度が高く、料金も割安になる場合が多い。提供するパッケージの航空券代金は、一般的にツアーなどに適用される包括旅行運賃になる。さらに、航空券とセットになることで、宿泊施設も単独で予約するよりも安くなる場合がほとんどだ。
全日空は今まで旅行代理店に対して、決まった座席数を提供し、満席になっても基本的には追加の提供はしていなかった。今回の新会社設立で「座席が余っていて、楽天からのニーズがあれば優先的に楽天側に回す」(全日空の安達氏)といった措置をとるなど、ANA楽パックの販売に力を入れていく。全日空では、昨年度実績で「航空券の予約、決済でWebサイトを利用するユーザーが全体の半分以上」(全日空の安達氏)になるなど、もはや大半のユーザーがWebサイトを利用して航空券を予約する時代になっているのである。
ネットを使うユーザーを取り込んで、さらにビジネスを拡大するためには、自社だけでなく他社との協力は不可欠になってくるだろう。実際、日本航空もヤフーと包括提携を結び、航空券予約やポイントの相互交換サービスを行うなど、関係を強化している(関連情報)。全日空、楽天両社ともに「他社と協業してダイナミックパッケージをやる可能性はないとは言えない」としているものの、今後は「楽天全日空連合」と「ヤフー日本航空連合」で、各種サービス競争が繰り広げられる可能性がある。

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